長年のパートナー、トニービスコンティ、ミッキーフィンと決別してマークボラン自身がセルフプロデュースしたさくひんです。グラムロックブームの熱も冷めて、マークボランの居場所が無くなっている時の作品ですが、ソウルへの傾倒を見せ始めて、新しいことへの挑戦をしている事を感じさせます。以前のブギースタイルも貫いておりますが、以前よりも16ビート感を強調する刻みが目立ちます。
1. Light of Love
2. Solid Baby
3. Precious Star
4. Token of My Love
5. Space Boss
6. Think Zinc
7. Till Dawn
8. Girl in the Thunderbolt Suit
9. I Really Love You Babe
10. Golden Belt
11. Zip Gun Boogie
12. Do You Wanna Dance
13. Dock of the Bay
80年代にはホワイトファンクが流行りますので、狙い目はよかったのですが、当時は良く理解されなかったようです。T-REXというより、グラムロックを懐かしんで聴くと結構いいアルバムかもしれません。しかし以前のような名声はもう過去のものになっており、終焉は目前となってきております。
マークボランの使えるコード進行は少なく、大体が同じようなコード進行で曲が作られております。それに比べてデビットボウイは多彩なコードワークができますので、よりゴージャスなグラムロックを創っておりました。このアルバムはそんなデビットボウイへ近づこうとしていた健気さが伝わってきます。これはあくまでも私の推測にしか過ぎませんが、デビットボウイ的な咆哮へ進む事が、生き延びる術だったのかもしれません。
そういう意味では、T-REXの新しい側面が伺える貴重なアルバムなのかもしれません。この路線でも、より完成度を増して行けば再び脚光を浴びる事は可能だったかもしれません。しかし、彼にはそんな時間は残されておりませんでした。