アルバムを出すごとにコンセプチュアルな方向を明白にしていくイエローモンキー。このアルバムあたりからその後のイエモンサウンドが確立されつつあります。歌詞もしっかりと韻を踏んで、メロディーにしっかり乗っております。女装したジャケットもいかにもって感じです。90年代だから出来る形のグラムロックアルバムです。
1. MORALITY SLAVE
2. DRASTIC HOLIDAY
3. LOVE IS ZOOPHILIA
4. 仮面劇
5. VERMILION HANDS
6. DONNA
7. 審美眼ブギ
8. 4000粒の恋の唄
9. アバンギャルドで行こうよ
10. フリージアの少年
11. SUCK OF LIFE
12. PUFF PUFF
13. シルクスカーフに帽子のマダム
ベートーヴェンの『月光』からはじまるMORALITY SLAVE、歌詞も歌い方もカッコ良くなりました。DRASTIC HOLIDAYはマイナーコードによる富むロビンソンバンドのようなメランコリックロックです。LOVE IS ZOOPHILIAも素晴らしい。直接的な性描写もしっかりと韻を踏んでロックすればいやらしくなく、ただただカッコ良くなっていくのです。これぞイエモンといった感じです。仮面劇も一番いい時のイエモンサウンドを既に確立しております。頽廃的で淫猥なニューウェーブも経たボウイがグラムロックしている感じでしょうか。
VERMILION HANDSはお得意のバブルガムなドラムパターンによるイエモンらしい曲です。DONNAはギター弾き語りを基本としたバラードで名曲です。歌詞も素晴らしいです。こういう曲が書けるのは吉井和哉しかいません。前作は辛口コメントにしたのも、こういう名曲が書けるのを知っているからです。審美眼ブギはファーストから連なるお得意な曲調ですが、時が熟してきたのでしょう。これまで以上にカッコいいです。4000粒の恋の唄はおフランスな感じのバラードで、これも彼らにしか創れない音宇宙です。JAM以上に名作だと言っておきましょう。
アバンギャルドで行こうよ、フリージアの少年、SUCK OF LIFEは代表曲のようなものなので解説は不要でしょう。フリージアの少年はヘビーレゲエです。PUFF PUFFは裏声で歌われるシャンソンの小曲です。そして、シルクスカーフに帽子のマダムは次回作、ジャガーハードペインの予告編といった曲です。3拍子のバラードはボウイが得意としていたグラムバラードです。吉井の歌にも説得力が益々磨きがかかり、素晴らしい名曲です。
全ての曲の完成度が高く、初期イエローモンキーの傑作アルバムです。全盛期の作品に全然ひけをとりません。