前作の暗く重い内容から一変、不気味なくらいにポップなアルバムになっております。タイトルはSMILE なのに泣いている女のジャケットが意味深です。
1. Smile
2. マリーにくちづけ
3. Love Communication
4. サイケデリック・ブルー
5. See-Saw Girl
6. 争いの街
7. エデンの夜に
8. イエ・イエ・コスメティック・ラヴ
9. ヴィーナスの花
10. “I”
11. Hard Rain
12. 嘆くなり我が夜のFantasy
13. 熱帯夜
賛美歌のようなSmileで静かに幕を開けますが、ポップなロックナンバーマリーにくちづけから他のJ-POPと同じ土俵で評価されがちな世界になってしまいますが、イエローモンキーはあくまでグラムロックの伝導師である事はアルバムを通して聴けば分かります。Love Communicationはシングルヒットしそうなカッコイイ曲です。サイケデリック・ブルーはアダムスファミリーのテーマ曲のようなラグタイムな曲です。See-Saw Girlはワウギターのカッティングがかっこいいハードロックです。
争いの街はこれまでとは違う表情を持ったポップで切ない曲で、これからのイエモンの音楽性がこのアルバムから始まっていいく予感がしてきます。エデンの夜には、グラムロックの要素をちりばめながらも、日本の歌謡性との融合が見事に成った素晴らしい曲だと思います。こういう貢献がイエモンの偉業だと思います。イエ・イエ・コスメティック・ラヴも新しいイエモン節が決まっています。ヴィーナスの花もポップなロックンロールなのですが、決して軽薄になっていないのがいい感じです。“I”はARBのような曲で、パンチがありますが、スパイ映画のようなイントロがひょうきんです。
Hard Rainはバラードです。吉井はこのようなバラードを創らせたら天下一品です。沢田研二が歌いそうなロック歌謡風でもあり、こういう曲をロックバンドがやると過去いいです。嘆くなり我が夜のFantasyもイエモン節なのですが、日本ではロックバンドと称するものでも、カラオケで歌われる事を念頭においた曲の作り方をします。カラオケでの印税が美味しいからです。だからつまらない曲が多いのですが、イエモンの場合でもカラオケに合った曲調なのですが、それでもグラムロックの伝道師たろうとしている姿勢が好感を持てます。熱帯夜も同じですね。この辺りからイエモンは売れ出していくのです。
一番聴き易いアルバムかもしれませんが、だからといって面白みが無い訳ではありません。日本のロックの一つの形としての完成度はあります。