二通りのバンドメンバーによる作品が交互に出てくる作品です。此のアルバムの意義としては、これから始まる第二期黄金のクィンテッドのメンバーが集まり出した事です。ドナルドバードや自身のソロ作品でファンキー
ジャズなどに傾倒していたハービーハンコック、エリックドルフィーらとセッションしていたロンカーター、当時まだ18歳だったトニーウィリアムスといった、新進気鋭の新たな才能に目を付けたマイルスの確信を試す作品となっています。後に全員が
ジャズ界の巨匠に成長しております。此の後ウェインショーターが加わりますが、彼はまだ
ジャズメッセンジャーとの契約が残っているため参加には至っておりません。
1. Basin Street Blues
2. Seven Steps To Heaven
3. I Fall In Love Too Easily
4. So Near, So Far
5. Baby, Won't You Please Come Home
6. Joshua
7. So Near, So Far
8. Summer Nights
2、4、6で前述の新人を起用しておりますが、明らかにその演奏の質が違うのが分かります。それに触発されたマイルスのプレイにも影響が出ております。特にSeven Steps To Heavenでのハービーの攻撃的なコードワークに今まで聴いた事も無いようなパワフルなマイルスのペットが聴けます。この時のサックス奏者ジョージコールマンも素晴らしいプレイを披露しています。Joshuaはもう一人のピアニストヴィクターフェルドマンとマイルスの共作ですが、此の曲ではヴィクターではなくハービーに演奏させています。これもマイルス流。
第一期のメンバーは皆独立しており、マイルスにとってモード
ジャズをもっと突き詰められるメンバーが必要だったのでしょう。そして選ばれた此の新人メンバーは見事その大役をこなして行く事になるのです。ハービーのプレイはビルエヴァンスのような繊細なものではなく、So Near, So Farでも分かるようにバッキングでさえもソロを弾いているような際立ったタッチが特徴です。新しい才能が新しい活気をマイルスにもたらしたのです。ここから無敵の快進撃が始まります。