Miles Smiles。何と言うタイトルでしょうか。あまり笑わないマイルスがジャケットで笑っているのです。デイビスは腰の手術を受け、さらに鎌状赤血球貧血という病気になり、母親が無くなっているのに。なぜマイルスは笑えたのか。その答えがこのアルバムにあります。モードジャズを開拓し、そして理想の演奏を収める事に成功したからに違いない。モードジャズが目指したもの、それはコードに縛られる事のない自由。メンバー全員がソリストである事。それらの意思にこの黄金のクィンテッドが応えられた作品として仕上がった悦びが笑顔をマイルスに与えたのだ。
1. Orbits 2. Circle 3. Footprints 4. Dolores 5. Freedom Jazz Dance 6. Gingerbread Boy
特にFootprintsのぞくぞくするようなベースラインからの攻防は凄まじいです。Orbits、Dolores、Freedom Jazz Danceもぎりぎりの秩序の中で自由を謳歌しております。Circleでは抽象画のような美しさもあります。まさに最強のクィンテッドです。エレクトリック時代にはメンバーが離れて行くため、此の緊張感を再現する苦労がでてきてしまいます。Gingerbread Boyではジャズというフォーマットの中でもこれだけのものが表現出来るという意思を感じられます。