黄金のクィンテッドとしては最後のスタジオオリジナルアルバムになります。其れだけに完成度は一番高いです。マイルススマイルをこの時期の最高傑作に上げる人もおりますが、音楽的な完成度はこちらが高いです。次回作のインアサイレントウェイに通じるマイルスの美意識はこのアルバムにて最高潮に達しております。ジャケットは前作と対となるマイルスが映されております。
1. Nefertiti
2. Fall
3. Hand Jive
4. Madness
5. Riot
6. Pinocchio
なんといってもウェインショーター作によるタイトル曲Nefertitiでは、ソロ楽器のトランペットとサックスが終止旋律を奏で、リズム楽器であるベース、ドラム、ピアノが終止アドリブを奏でるという逆転的な構成が斬新です。これは奇をてらったものではなく、古代エジプトの女王Nefertitiの波乱に満ちた人生を表現しているようです。尋常ではないのが、ドラムのトニーウィリアムスとベースのロンカーターです。特にMadnessでのプレイは他の
ジャズメンには真似出来ないようなプレイの連続です。しかし、しっかり
ジャズしているところが流石です。
マイルスとウェインショーターもいつにも増してリリカルで繊細なプレイが超人的ですらあります。ハービーハンコックには現代音楽にも通じるニュアンスが聴いてとれます。
ジャズという音楽の中でこれだけの表現をやってのけたのですから、エレクトリック時代に行った流れは自然な流れ出合った事がこのアルバムでは読み取れます。エレクトリック時代ではビート感が変わっただけで、やっている事はそれほど違いは無いのです。
モダン
ジャズとして捉えられる内容は此のアルバムまでとなります。この後は、いよいよマイルスが禁断の扉を開いてしまいます。過去の
ジャズを愛するものからは罵られ、ロック小僧からは理解されずともマイルスは進むべき道を突き進んでゆくのです。そして一言SO WHAT!!と言い捨てるマイルスがそこにいるのです。