1. Do It Again 2. Word Of Mouth 3. Good Day 4. Living On A Thin Line 5. Sold Me Out 6. Massive Reductions 7. Guilty 8. Too Hot 9. Missing Persons 10. Summer's Gone 11. Going Solo 12. Good Day (Extended Edit) 13. Summer's Gone (Extended Edit)
シングルカットされたDo It Againはキンキーサウンドを80年代風に仕上げた感じで、久々におっと想わせる曲になっています。元々何々風に曲を創るのが巧いレイデイヴィスですから、80年代風のサウンドを頂いていたのだと思いますが、まさかその時代の最先端の音が将来風化してしまうような陳腐なものだったとは、この当時には想像もつかなかった事でしょう。正直私も当時は80年代的なものを一生懸命構築していました。ただある日その手法に飽きてしまい、とてもその時代の音が時代遅れなものに感じてしまったのですから、今でもそのイメージはありますし、事実ショボイものであるのです。70年代サウンドがリヴァイバルした時は喜びましたが、今度は80年代風が流行ると言われ出したとき、こいつらは本気か?と思いました。はっきり言ってロック的には汚点というか忘れなければならないような恥ずべきものが多かったのです。
1. State of Confusion 2. Definite Maybe 3. Labour of Love 4. Come Dancing 5. Property 6. Don't Forget to Dance 7. Young Conservatives 8. Heart of Gold 9. Cliches of the World (B Movie) 10. Bernadette 11. Don't Forget to Dance [Original Extended Edit] 12. Once a Thief 13. Long Distance 14. Noise
State of Confusionはニューウェイヴ的なアレンジでとても若い演奏を披露しています。Labour of Loveのイントロではウェディングマーチをジミヘンのアメリカ国家のように演奏しています。ここまでやると創り過ぎと思ってしまいます。ヒットシングルCome Dancingはカリプソなロカビリーといった不思議な曲です。この辺のセンスはまだ衰えていなかったようです。しかし全体的には若かりし頃の懐かしのロックンロールを80年代風に蘇らせたブロンディーのようなサウンドになっています。
1. Around The Dial 2. Give The People What They Want 3. Killer's Eyes 4. Predictable 5. Add It Up 6. Destroyer 7. Yo-Yo 8. Back To Front 9. Art Lover 10. A Little Bit Of Abuse 11. Better Things
Art LoverとBetter Things、Predictable、Destroyerがシングルカットされました。キンクスのようなポップバンドがアメリカ的な音楽をやろうとすると、どうしてもカーズのようなスタイルになります。彼らも手本にしていたのではないでしょうか。勿論カーズの方が先にキンクスを手本にしていたのですが。
アメリカでの成功を収めたキンクスのアメリカンツアーを中心にしたライブアルバムです。映像としてビデオも出されていましたが、現在は廃盤になっています。公式なライブアルバムとしては一番ポピュラーなものになっています。これまでのLive At Kelvin Hallは録音状態が良くなかったですし、唯一まともなライブ盤かもしれません。しかし内容的にはEverybody's In Show Bizに収録されていたライブ演奏の方が出来はいいです。ここではベストな選曲で入門編としてはいいかもしれませんが、演奏内容はそれほど満足出来るものではありません。
1. Opening 2. Hard Way 3. Catch Me Now I'm Falling 4. Where Have All the Good Times Gone 5. Introduction to Lola 6. Lola 7. Pressure 8. All Day and All of the Night 9. 20th Century Man 10. Misfits 11. Prince of the Punks 12. Stop Your Sobbing 13. Low Budget 14. Attitude 15. (Wish I Could Fly Like) Superman 16. National Health 17. Till the End of the Day 18. Celluloid Heroes 19. You Really Got Me 20. Victoria 21. David Watts
OpeningではYou Really Got Meのリフで煽ってみたりと、何が受けるのかを分かった構成になっています。プリテンダーズにカバーされたStop Your Sobbingはプリンテンダーズバージョンで演奏していますし、ジャムがカバーしたDavid Wattsを入れてみたりと、リバイバルにより人気が出てきた事を自覚した選曲になっています。You Really Got Meではヴァンへイレンばりにハミング奏法を仕掛けますが、なりきれずに始まるリフでも盛り上がります。
1. Attitude 2. Catch Me Now I'm Falling 3. Pressure 4. National Health 5. (Wish I Could Fly Like) Superman 6. Low Budget 7. In A Space 8. Little Bit Of Emotion 9. A Gallon Of Gas 10. Misery 11. Moving Pictures 12. A Gallon Of Gas (U.S. Single Extended Edit) 13. Catch Me Now I'm Falling (Original Extended Edit) 14. (Wish I Could Fly Like) Superman (Disco Mix Extended Edit )
Attitudeからディストーションをかけまくったギターサウンドが支配します。まるでハードロックバンドです。Catch Me Now I'm Fallingではストーンズのジャンピングジャックフラッシュのリフをモロにパクっています。レイデイヴィスの歌い方はボブウェルチのようです。アメリカと言う事で参考にしたのでしょうか。シングルカットされたPressureはパンクしていますし、パンクに批判的であったにもかかわらず、それを利用する所がレイらしい所です。
National Healthはテクノしているし、シングルかットされたSupermanはディスコです。あくまでもパロディーでしょうけど、ここまで無節操に流行の音を入れているのはどうかとも思えます。この時代の乗り越え方としてストーンズをお手本としている感じもしますが、見事にアメリカでは人気を得る事が出来ました。日本では一部のファンにしかいまだに支持されていません。それもキンクスの宿命なのでしょう。
1. Misfits 2. Hay Fever 3. Black Messiah 4. A Rock 'N' Roll Fantasy 5. In A Foreign Land 6. Permanent Waves 7. Live Life 8. Out Of The Wardrobe 9. Trust Your Heart 10. Get Up 11. Black Messiah (single remix) 12. Father Christmas 13. A Rock 'N' Roll Fantasy (US single edit) 14. Live Life (US single mix)
Misfitsというミディアムテンポのドラマティックな曲から始まり、ファンキーなHay Fever、そしてレゲエのBlack Messiah、シングルかットされたバラードの A Rock 'N' Roll Fantasyヘと続きます。同じ時期にバッドカンパニーにも Rock 'N' Roll Fantasyと言う曲がありました。どうやらエルヴィスプレスリーの死が関係していたようです。当時は気づきませんでした。In A Foreign Landはカーズのようなニューウェイブなロックンロールです。
1. Life on the Road 2. Mr. Big Man 3. Sleepwalker 4. Brother 5. Juke Box Music 6. Sleepless Night 7. Stormy Sky 8. Full Moon 9. Life Goes On 10. Artifical Light 11. Prince of the Punks 12. Poseur 13. On the Outside [1977 Mix] 14. On the Outside [1994 Mix]
パンクが猛威を振るっていた時代でしたが、アリスタレーベルはキンクスにグラムロックのようなサウンドを要求していたようです。しかしここで聴けるサウンドはデヴィッドボウイのようなドラマティックな曲ばかりです。Life on the Roadからいきなりドラマティックですし、Mr. Big Manはクラプトンのいとしのレイラのようです。BrotherはまるでELOです。実に時代に反した音楽なのですが、アメリカでは受けたようです。
1. Schooldays 2. Jack The Idiot Dunce 3. Education 4. The First Time We Fall In Love 5. I'm in Disgrace 6. Headmaster 7. The Hardway 8. The Last Assembly 9. No More Looking Back 10. Finale
3連のロッカバラードSchooldaysで始まります。Jack The Idiot Dunceもドゥワップなロックンロールです。日本でも昔はキャロルやクールスのようなロックンロール、ロカビリー系が不良の音楽でしたが、イギリスでも同じイメージなのでしょう。その為ストッレートな音楽で一番解り易い作品になっています。パロディー精神もここまで徹底してくれると気持ちのいいものです。No More Looking Backは70年代らしいフュージュンっぽい素晴らしいアレンジになっています。当時のアメリカンプログレのような曲です。
The First Time We Fall In Loveではビーチボーイズのようなファルセットを聴かせてくれます。このアルバムが発売された頃はパンクが芽生え出していた時期で、まだ大きな波にはなっていませんでした、そうした時代性とは関係ない所で創られていますが、予感させるものでもあります。ギターもメタリックになっていますが、レイが歌う旋律は相変わらず美しい旋律になっています。オーソドックスな内容ですので名盤と呼ぶには軽い感じですが、一般のロックファンにも受け入れ易い作品です。
1. Everybody's A Star (Starmaker) 2. Ordinary People 3. Rush Hour Blues 4. Nine To Five 5. When Work Is Over 6. Have Another Drink 7. Underneath The Neon Sign 8. Holiday Romance 9. You Make It All Worthwhile 10. Ducks On The Wall 11. (A) Face In The Crowd 12. You Can't Stop The Music 13. Everybody's A Star (Starmaker) (Mono Mix) 14. Ordinary People (Live) 15. You Make It All Worthwhile (Live) 16. Underneath The Neon Sign (Live)
Everybody's A Starキンキーサウンドをザフーのようなアレンジで創り上げた自分達をパロディー化したロックナンバーです。全体的に前作からあったタイトな70年代らしいロックサウンドでアレンジされています。ロックミュージカルといった面持ちです。When Work Is Overではフュージュンのようなアレンジからモータウン風のコーラスが入ります。こういう所にバンドの進化が伺えます。シングルカットされたDucks On The Wallはグラムロックしています。
1. Announcement 2. Introduction to Solution 3. When a Solution Comes 4. Money Talks 5. Announcement 6. Shepherds of the Nation 7. Scum of the Earth 8. Second-Hand Car Spiv 9. He's Evil 10. Mirror of Love 11. Announcement 12. Nobody Gives 13. Oh Where Oh Where Is Love? 14. Flash's Dream (The Final Elbow) 15. Flash's Confession 16. Nothing Lasts Forever 17. Announcement 18. Artificial Man 19. Scrapheap City 20. Announcement 21. Salvation Road 22. Mirror of Love 23. Slum Kids [Take 1]
1. Preservation (Single) [Alternate Mix] 2. Morning Song 3. Daylight 4. Sweet Lady Genevieve 5. There's a Change in the Weather 6. Where Are They Now? 7. One of the Survivors 8. Cricket 9. Money & Corruption/I Am Your Man 10. Here Comes Flash 11. Sitting in the Midday Sun 12. Demolition 13. One of the Survivors [Single Edit]
1. Here Comes Yet Another Day 2. Maximun Consumption 3. Unreal Reality 4. Hot Potatoes 5. Sitting In My Hotel 6. Motorway 7. You Don't Know My Name 8. Supersonic Rocket Ship 9. Look A Little On The Sunnyside 10. Celluloid Hereos 11. Top Of The Pops 12. Brainwashed 13. Mr. Wonderful 14. Acute Schizophrenia Paranoia Blues 15. Holiday 16. Muswell Hillbilly 17. Alcohol 18. Banana Boat Song (trad.) 19. Skin & Bone 20. Baby Face 21. Lola PREVIOUSLY UNRELEASED BONUS TRACK 22. Till The End Of The Day 23. She's Bought A Hat Like Princess Marina
Here Comes Yet Another Dayから前作までのトラッドフォークブルースのような曲が出てきますが、ヴォードビル的なメロディーがブルースとは又別のスタイルへと進化させています。レイデヴィスはの歌はまるでこのショーを演じるアクターのようでもあります。レイの歌い方からマークボランやブライアンフェリーを連想出来る人は相当なロックマニアだと思います。つまり、この辺りから出てくるグラムロックにもキンクスは影響を与えていると言う訳です。その後のパンクやネオアコにも影響を与えていますから、ブリティッシュロックの系譜はビートルズに始まりますが、キンクスが占める部分が多々あると言う事です。それだけ英国の人には愛されていたのです。
1. 20th Century Man 2. Acute Schizophrenia Paranoia Blues 3. Holiday 4. Skin & Bone 5. Alcohol 6. Complicated Life 7. Here Come the People in Grey 8. Have a Cuppa Tea 9. Holloway Jail 10. Oklahoma U.S.A. 11. Uncle Son 12. Muswell Hillbilly 13. Mountain Woman 14. Kentucky Moon
トラフィックもこの時代同じような音楽を創っていました。20th Century Manなどそういう感じです。イギリスではトラッドフォークやケルティック音楽にも革命が起きており、ペンタングルやフェアポートコンヴェンションなどが流行っており、ツェッペリンもジョンボーナムを見つけるまではその路線で行く予定だったようです。アイルランド民謡がアメリカに渡りカントリーやブルーグラスになっていった事を考えると、アメリカから逆輸入された音楽を再度イギリスで手直ししているといった作業なのですが、それが面白い効果となっていると思います。
Have a Cuppa Teaのようなキンクスらしい曲もあります。イギリスではパブでバンド演奏が行われており、ライブハウスのような場所になっています。パンクが登場する前はパブロックと呼ばれるバンドが出ておりました。そのパブをジャケットに映し出しております。イギリスでは御馴染みの後継ですが、日本では見果てぬ世界の風景でした。そしてバンドの演奏力が格段に上がってきている事もあり、ストーンズやフェイセスにも負けないプレイが聴けます。しかしキンクスの場合、このスタイルが定着するのではありませんので、このアルバムの存在価値も上がっているのです。メロディーはいいのですが、コマーシャルな感じのヒット曲が無いのでどうしてもメジャーな扱いを受けていませんが、現在の耳で聴いても通用するような珠玉の歌がおさめられています。カントリーブルースとして聴いてもいいですが、イギリスのトラッドフォークブルースとして聴くのが一番しっくりきます。
1. God's Children 2. Lola [Instrumental] 3. Way Love Used to Be 4. Completely 5. Running Round Town 6. Moments 7. Animals in the Zoo 8. Just Friends 9. Whip Lady 10. Dreams 11. Helga 12. Willesden Green 13. God's Children 14. Dreams 15. Moments 16. Way Love Used to Be 17. Way Love Used to Be 18. Way Love Used to Be
いかにもキンクスらしいGod's Children、ローラのエレクトリックインスト版を挟みWay Love Used to Beは美しい旋律のバラードです。ストリングスアレンジも素晴らしい。Completelyはブルースナンバーのインストものです。コークスクリューヴォイスのMomentsもしみじみとするいい曲です。ボディドリーリズムをアコースティックで演奏しているAnimals in the Zooもユニークな曲です。
1. Contenders 2. Strangers 3. Denmark Street 4. Get Back in the Line 5. Lola 6. Top of the Pops 7. Moneygoround 8. This Time Tomorrow 9. Long Way from Home 10. Rats 11. Apeman 12. Powerman 13. Got to Be Free 14. Lola 15. Apeman [Demo Version] 16. Powerman [Demo Version]
Top of the Popsはストーンズのような曲です。途中でダンス天国を演奏し出します。Apemanもシングルヒットした曲です。トロピカルなリズムにブルースロック的なピアノが絡んでいる変わった曲です。アルバム全体にピアノやオルガンによるアレンジにより音に厚みが出来ていると思います。そしてまるで演技者のように歌うレイデイヴィスの歌に注目して下さい。奇妙なビブラートを効かせるようになっています。これは後にマークボランが真似したのではないかとも思える歌い方でコークスクリューヴォイスとでも呼びましょうか。
Powermanにしてもちょっとひねくれたロックンロールになっています。これまでの牧歌的なホノボノした感じが薄れています。ラストのGot to Be Freeもフェイセスのようなトラディショナルフォークロックのような曲です。時代の音とも言えます。この後もこのストーンズ的なノリが多くなっていきます。でもキンクスのポップな曲創りは健在です。
1. Victoria 2. Yes Sir, No Sir 3. Some Mother's Son 4. Drivin' 5. Brainwashed 6. Australia 7. Shangri-La 8. Mr. Churchill Says 9. She's Bought a Hat Like Princess Marina 10. Young and Innocent Days 11. Nothing to Say 12. Arthur
Victoriaはヴィクトリア王女時代の大英帝国の絶頂期から衰退を歌っている格好いいロックンロールナンバーです。Yes Sir, No Sirは吟遊詩人たるレイデイヴィスの語りかけるような歌が印象的で曲中で変化していく流れが心地良いです。Some Mother's Sonは室内楽を取り入れた後期のピンクフロイドのような曲です。Drivin'が一番好きな曲です。イギリスの田園風景を眺めながらのんびりと時間が過ぎていく情景が目に浮かびます。コーラスがとても心地良いです。Brainwashedはバンドフィルが印象的なロックンロールナンバーで、フォーキーな曲だけじゃない所がこのアルバムの良さです。ギターもかなりディストーションがかかっています。
She's Bought a Hat Like Princess Marinaはビートルズ的な曲で、バロック調の雰囲気からロックンロール、ヴォードヴィルへと変貌していく様は一曲でビートルズのホワイトアルバムしております。Young and Innocent Daysもバロック調の美しいバラードです。チェンバロの響きもいいすが旋律が素晴らしいです。Nothing to Sayはカントリーロックにアカペラ風のコーラスが絡んできます。 最後までこの濃密な時間が持続されるのか心配になりながら始まるラストのArthurは軽快なカントリーというかトラッドフォークのような曲で最後まで心地良さを持続させながら聴き終える事が出来ます。最高のアルバムです。
1. Village Green Preservation Society 2. Do You Remember Walter? 3. Picture Book 4. Johnny Thunder 5. Last of the Steam-Powered Trains 6. Big Sky 7. Sitting By the Riverside 8. Animal Farm 9. Village Green 10. Starstruck 11. Phenomenal Cat 12. All of My Friends Were There 13. Wicked Annabella 14. Monica 15. People Take Pictures of Each Other 28. Days
イギリスのトラッドフォーク調のVillage Green Preservation Societyからビートルズ的なDo You Remember Walter?、ラヴィンスプーンフルのようなPicture Book、そしてCCRのような7thによるブルースナンバー Last of the Steam-Powered Trainsなど、ほのぼのとしながらもユーモラスなキンクスの世界が展開しています。Sitting By the Riversideはポールマッカートニーの創るような曲ですし、このコンセプトアルバム時代のキンクスの印象はパロディー精神により風刺したメッセージ性を持っており、吟遊詩人のごときレイデイヴィスの世界観に浸る事が出来ます。
Village Greenは日本の甲斐バンドの裏切りの街角にそっくりです。恐らく甲斐バンドがパクっているのでしょう。Phenomenal Catではまるでストロベリーのようなフルートのメロトロンサウンドが使われています。当時はレイドバックするのが流行出していた時期でもあり、その点ではこのアルバムのテーマは合っているのですが、音楽的にはかなりいろんな要素がからんでいて時代性は関係なくなっています。商業的には失敗したアルバムですが、キンクスの中でも名盤と呼べるもので、ストーンズやビートルズのフォーキーな所が好きだけれども、別の新しい曲が聴きたくなったらこのアルバムをお勧めします。時代の流れとは違う時計がこの時のキンクスには刻まれていたのでしょう。
1. Till the End of the Day 2. Well Respected Man 3. You're Lookin' Fine 4. Sunny Afternoon 5. Dandy 6. I'm on an Island 7. Come on Now 8. You Really Got Me 9. Medley: Milk Cow Blues/Batman Theme/Tired of Waiting for You
演奏はステレオにふられており、前面に出ているのですがヴォーカルがステージリヴァーブにより奥に引っ込んでいる感じがしますが、オープニングのTill the End of the Dayの始まり方は結構ゾクゾクするようなカッコ良さがあります。Well Respected Manは社会風刺による最初のヒット曲であり、その後のキンクスの方向性を決定づけた重要な曲です。Sunny AfternoonやDandy、I'm on an Islandのようなポップな曲でも盛り上がれると言う所がアイドルしています。
Come on Nowはとてもライブ映えのする格好いい曲です。ビートルズのペーパーバックライターににています。そして問答無用のYou Really Got Meが一番盛り上がっているようですが、ハイライトはMilk Cow Bluesから始まるメドレーです。バットマンのテーマはジャムもカバーしていました。そしてヒット曲Tired of Waiting for Youへとつながります。現在で言えばインディーズ系のバンドが自主制作で創ったライブアルバムのような音質ですが、ライブの臨場感をストレートに感じられるパワフルな作品です。
1. David Watts 2. Death Of A Clown 3. Two Sisters 4. No Return 5. Harry Rag 6. Tin Soldier Man 7. Situation Vacant 8. Love Me Till The Sun Shines 9. Lazy Old Sun 10. Afternoon Tea 11. Funny Face 12. End Of The Season 13. Waterloo Sunset 14. Act Nice And Gentle 15. Autumn Almanac 16. Susannah's Still Alive 17. Wonderboy 18. Polly 19. Lincoln County 20. There's No Life Without Love 21. Lazy Old Sun (Unreleased Alternate Stereo Take)
ザジャムもカバーしたDavid Wattsのユニゾン感覚は非常に英国的なものです。弟のデイヴデイヴィスとの共作になるDeath Of A Clownはソロ名義でヒットしました。カントリーフォーク調の曲です。No Returnはボサノヴァ調の曲ですが、このとぼけた歌い方は何なんでしょう。民謡のようなHarry Ragなど多彩な面も見せ、Tin Soldier Manは一時期のストーンズのようです。Situation Vacantでのオルガンサウンドの格好いい事。Love Me Till The Sun Shinesはまるでボブディランのフォークロックのようで、歌い方も真似しているように感じます。
Lazy Old Sunは皆生デリックと言ってもいい曲です。かなりストレンジです。Afternoon TeaとFunny Faceはポールマッカトニー的な曲です。End Of The Seasonはまるで007のテーマをフォーク調にしたような曲です。コード進行がサウンドトラック的な効果を出しています。そしてポールウェラー少年も涙した名曲Waterloo Sunsetはイギリスの地名であり、駅の名前でもあります。とてもやさしい歌い方がキンクスらしいです。エンディングでいきなり現れるオーケストラがもっと聴きたいと思わせますが、淡白に終わっていきます。
1. Party Line 2. Rosie Won't You Please Come Home 3. Dandy 4. Too Much on My Mind 5. Session Man 6. Rainy Day in June 7. House in the Country 8. Holiday in Waikiki 9. Most Exclusive Residence for Sale 10. Fancy 11. Little Miss Queen of Darkness 12. You're Lookin' Fine 13. Sunny Afternoon 14. I'll Remember 15. I'm Not Like Everybody Else 16. Dead End Street 17. Big Black Smoke 18. Mister Pleasant 19. This Is Where I Belong 20. Mr. Reporter 21. Little Women
8トラックを手にしたレイデイヴィスは最初サウンドエフェクトを随所にちりばめた作品を構想しますが、多忙により断念、しかし電話のSEで始まるParty Lineから心地良いポップスが展開していきます。Rosie Won't You Please Come Homeはサイケまで逝ききれない曲ですが、これはこれで心地良いものです。Dandyはハーマンズハーミッツがカバーしてヒットさせた為に有名な曲になっていますが、キンクスがオリジナルです。
Session Manはピアノを担当してくれていたニッキーホプキンスに捧げた曲です。雷のSEで始まるRainy Day in Juneもサイケと言うには中途半端な感じです。Too Much on My Mindにしてもそうですが、当時の彼らはビートルズよりもアメリカのラヴィンスプーンフルに傾倒しており手本としていました。その為ポップでいい曲は創っていましたが、あっち側に逝ってしまっている感は薄く、こちら側との境目から覗いているようなスタンスで曲を創っていたと推測出来ます。Holiday in Waikikiではエレクトリックシタール風のサウンドをエレキで出していると言う変わったアレンジになっています。
Fancyが唯一サイケデリックサウンドと呼べる曲ではないでしょうか。Little Miss Queen of Darknessもそうですが、この気怠い歌い方というかアンニュイな感じがキンクスの魅力でもあります。その典型的なヒット曲Sunny Afternoonはこの時代のキンクスの代表作です。スモールフェイセスにしてもイギリスでの日曜日はよく歌の題材にされています。のほほんとした感じですが歌詞は相当皮肉った歌詞になっています。トムロヴィンソンバンドのグラッドトゥビゲイのようなノスタルジックなコード進行です。このアルバムはビートルズで言うラバーソウルに位置づけておきましょうか。まだまだ名作が続きますので。勿論このアルバムも名盤です。
1. Milk Cow Blues 2. Ring the Bells 3. Gotta Get the First Plane Home 4. When I See That Girl of Mine 5. I Am Free 6. Till the End of the Day 7. World Keeps Going Round 8. I'm on an Island 9. Where Have All the Good Times Gone 10. It's Too Late 11. What's in Store for Me 12. You Can't Win 13. Dedicated Follower of Fashion 14. Sittin' on My Sofa 15. When I See That Girl of Mine [Demo Version] 16. Dedicated Follower of Fashion [Alternate Stereo Take]
カバー曲はMilk Cow Bluesのみで後は全てオリジナルです。しかしこの曲を一曲目に持ってくる事により初期のキンクスの名残を感じさせます。大ヒットしたTill the End of the Dayはキンキーサウンドの典型的な作品でファンの間では一番の人気曲です。アメリカだけでリリースした平凡な日常を過ごしている男を描いたWell Respected Manがヒットした事によりラブソング以外のひねくれた視点での作品が多くなっていきます。
フォークロック的な曲調は後のネオアコやブリットポップの手本となるものばかりで、イギリスのロック史を考える上で欠かせない存在がこのキンクスなのです。日本ではピンとこないかもしれませんが、10CCもビートルズ風というよりキンクス風と言った方がしっくりきたりします。デヴィッドボウイやヴァンへイレンもカバーしたWhere Have All the Good Times Goneもキンキーサウンドの典型です。
What's in Store for Meはストーンズやビートルズがやっていたカントリーロック的な曲です。しかしレイデイヴィスの力の抜けた歌い方は聴き込むに連れて心地良いものです。You Can't Winではフェイザーを通したギターサウンドがビートルズ的で面白いです。ここにきてやっとこういうサウンドを出してきたかと思うほど後発的ですが、それほどサウンドメイキングにこだわらなかった彼らが目覚め出していた事を物語っています。
Milk Cow Blues
Till the End of the Day
I'm on an Island
Where Have All the Good Times Gone/Sitting On my Sofa
1. Look For Me Baby 2. Got My Feet On The Ground 3. Nothin' In The World Can Stop Me Worryin' Bout That Girl 4. Naggin' Woman 5. Wonder Where My Baby Is Tonight 6. Tired Of Waiting For You 7. Dancing In The Street 8. Don't Ever Change 9. Come On Now 10. So Long 11. You Shouldn't Be Sad 12. Something Better Beginning 13. Everybody's Gonna Be Happy 14. Who'll Be The Next In Line 15. Set Me Free 16. I Need You 17. See My Friends 18. Never Met A Girl Like You Before 19. Wait Till The Summer Come Along 20. Such A Shame 21. A Well Respected Man 22. Don't You Fret 23. I Go To Sleep (Unreleased Recording)
シングルヒットしたTired Of Waiting For Youに個性を感じますが、他のバンドがすぐ真似してキンクスだけのカラーにならなくなっている事もありますが、イギリスではその辺が分かっていたのかもの凄い人気でした。Nothin' In The World Can Stop Me Worryin' Bout That Girlではバートヤンシュのようなトラッドフォークも創り出す器用さを見せてくれます。Don't Ever Change、Come On Nowのような軽快な曲は活気いです。勢いを感じます。
1. Beautiful Delilah 2. So Mystifying 3. Just Can't Go to Sleep 4. Long Tall Shorty 5. I Took My Baby Home 6. I'm a Lover Not a Fighter 7. You Really Got Me 8. Cadillac 9. Bald Headed Woman 10. Revenge 11. Too Much Monkey Business 12. I've Been Driving on Bald Mountain 13. Stop Your Sobbing 14. Got Love If You Want It 15. You Still Want Me 16. I Don't Need You Any More
1. Athena 2. It's Your Turn 3. Cook's County 4. It's Hard 5. Dangerous 6. Eminence Front 7. I've Known No War 8. One Life's Enough 9. One at a Time 10. Why Did I Fall for That 11. Man Is a Man 12. Cry If You Want 13. It's Hard [Live] 14. Eminence Front [Live] 15. Dangerous [Live] 16. Cry If You Want [Live]
1. You Better You Bet 2. Don't Let Go the Coat 3. Cache Cache 4. Quiet One 5. Did You Steal My Money 6. How Can You Do It Alone 7. Daily Records 8. You 9. Another Tricky Day 10. I Like Nightmares 11. It's in You 12. Somebody Saved Me 13. How Can You Do It Alone [Live] 14. Quiet One [Live]
各メンバーはそれぞれいいソロアルバムを創っていますが、キースムーンがいないと言うだけでまるでソロアルバムを聴いているような感じになってしまいます。80年代も何とか生き残りをかけようと必死な感じも伝わります。You Better You Betはいかにもザフーらしい曲でシングルヒットしました。Did You Steal My Moneyはサンプラーも使ったまるでスティングのような曲です。80年代に適したような曲創りがされています。
1. New Song 2. Had Enough 3. 905 4. Sister Disco 5. Music Must Change 6. Trick of the Light 7. Guitar and Pen 8. Love Is Coming Down 9. Who Are You 10. No Road Romance 11. Empty Glass 12. Guitar and Pen [Olympic '78 Mix] 13. Love Is Coming Down [Work in Progress Mix] 14. Who Are You [Lost Verse Mix]
全体的なイメージは大人のロックといったイメージがします。かつての若者の為のロックとは熟練度が違います。New Songや905などいい曲を創っており、よく出来たアルバムなのですが、ドラムがキースじゃないと平凡過ぎてザフーらしからぬ作品に聴こえてしまいます。Music Must Changeではジャズ風のアレンジで新境地も開拓しています。
1. Slip Kid 2. However Much I Booze 3. Squeeze Box 4. Dreaming From the Waist 5. Imagine a Man 6. Success Story 7. They Are All in Love 8. Blue, Red and Grey 9. How Many Friends 10. In a Hand or a Face 11. Squeeze Box [Live] 12. Behind Blue Eyes [Live] 13. Dreaming From the Waist [Live]
パカッションから始まるSlip KidやSuccess Storyも格好いいし、3拍子のThey Are All in Loveも心地いい曲です。タウンゼントがウクレレ片手に歌うBlue, Red and Greyはシンプルなオーケストレイションが成されていて感動的です。How Many Friendsはミディアムテンポのソフトロックです。1975年と言うのは最初のハードロックブームが減速し始めており、第二波が起ころうとしていた時期でもあります。パンクが生まれる前であり、倦怠期にとも言えるかもしれません。その中でもザフーは地味ながらマイペースに作品を仕上げたと思います。
1. I'm the Face 2. Leaving Here 3. Baby Don't You Do It 4. Summertime Blues 5. Under My Thumb 6. Mary Anne with the Shaky Hand 7. My Way 8. Faith in Something Bigger 9. Glow Girl 10. Little Billy 11. Young Man Blues 12. Cousin Kevin Model Child 13. Love Ain't for Keeping 14. Time Is Passing 15. Pure and Easy 16. Too Much of Anything 17. Long Live Rock 18. Put the Money Down 19. We Close Tonight 20. Postcard 21. Now I'm a Farmer 22. Water 23. Naked Eye
何と言ってもジャケットが格好いいです。オリジナルでは11曲の作品だったのですが、CDになったら23曲に増えています。ストーンズが逮捕された時に録音したUnder My Thumbなどが入っていますが、オリジナル曲目で紹介します。Postcardはビートルズのサイケ時代のようなアレンジが心地良いポップな曲です。ジョンの作品です。そして大好きなのがNow I'm a Farmerです。おいら百姓、耕す耕すといったコミックバンドのような歌詞をハードロックバンドが歌うといったギャップがありました。この曲で連想されるのがジョンボーナムが永遠の詩で農場を運営していた事です。確かにツェッペリンもザフーも英国の農耕民族のようなグルーヴを持っていると思い、私はジョンボーナムをお百姓さんのリズムと評するようになったきっかけの曲です。曲が変化していく展開も素晴らしいです。
Put the Money Downはザフーらしいハードロックです。Little Billyのブリットポップな感じがたまりません。これぞ英国しきポップスです。Too Much of Anythingはロジャーダルトリーが歌い上げるタイプの曲で、こういう曲もザフーならではです。Glow Girlはトミーが女の子だったらと言った内容の曲です。Pure and Easyはピートタウンゼントのソロ作品ですが、ここではザフーによって演奏されています。ブリッジの部分が格好いい曲です。Faith in Something Biggerはブリティッシュビートグループがヒットさせたようなポップな曲で名曲です。
I'm the Faceは最初期の作品でボディドリーばりのスライドギターが印象的なビートブルース曲です。Naked Eyeはダルトリーが得意とするドラマティックなバラードです。2番からタウンゼントが歌い出します。70年代のハードロックバンドがやりそうな盛り上げ方です。そして邦題が不死身のハードロックだったLong Live Rockは文句無しのストレートなロックンロールです。まだパンクが出てくる前なのにロックは死んだと言われるが長生きしてくれと言うメッセージが歌われています。