1. Satisfied mind 2. Saved 3. Covenant woman 4. What can I do for you 5. Solid rock 6. Pressing on 7. In the garden 8. Saving grace 9. Are you ready
タイトルのSavedはかなり格好いい曲でクラプトンのフォーエヴァーマンに似ています。In the Gardenもビートルズのような曲でかなりの名曲です。救いを求めるようなジャケットがパンクの時代においてはひんしゅくものですが、音楽的にはかなり充実しています。周りで何があってもぶれないボブディランがここにはいます。
1. Gotta Serve Somebody 2. Precious Angel 3. I Believe in You 4. Slow Train 5. Gonna Change My Way of Thinking 6. Do Right to Me Baby (Do Unto Others) 7. When You Gonna Wake Up 8. Man Gave Names to All the Animals 9. When He Returns
もうディランは終わったとさえ思われていましたが、このアルバムにはマークノップラーなどが参加しており、そのギタープレイはディランの音楽に見事にマッチして素晴らしい作品に仕上がっています。When You Gonna Wake Upではスティーリーダン風のフュージョン的なアレンジが見事で、Man Gave Names to All the Animalsでのレゲエ風でありながら新しい感じの出来映えになっています。
1. Changing of the Guards 2. New Pony 3. No Time to Think 4. Baby Stop Crying 5. Is Your Love in Vain? 6. Senor (Tales of Yankee Power) 7. True Love Tends to Forget 8. We Better Talk This Over 9. Where Are You Tonight? (Journey Through Dark Heat)
そしてシングルヒットしたOne More Cup of Coffeeも素晴らしい出来映えの名曲です。道行く為のコーヒーをもう一杯と言う歌詞が西部劇風でとても男の郷愁をくすぐります。又その歌詞がのるメロディーが中近東風で当時はとても新しく感じました。当時はデヴィッドボウイのワルシャワの幻想で中近東の旋律に衝撃を覚えていたときでしたので、それをフォーク調で表現したディランにもやられてしまいました。Oh, Sisterは以前のディランらしい曲ですが、これ一曲だけでもアルバムのハイライトになるくらいの曲です。それが脇役のように存在しているのがこのアルバムの凄い所です。
Joeyはシンプルながら11分もある曲で、フォーク調ですがそのスケール感はプログレのようです。そうです。このアルバムはブロンドオンブロンドとは音楽的には違う物ですが、どちらもプログレ的なスケールで創られているのです。作品としての統一感はこちらがあります。メキシカンなRomance in Durango、Black Diamond Bayとそのスケールは広がっていき、美しきラブソングSaraで感動のうちに幕を閉じていきます。所々でラフな演奏も聴かれますが、それがこの作品の雰囲気に見事にあっており、やはりこれがボブディランの最高の名盤ではないでしょうか。これに勝る音楽はそうそうないと思います。
1. Tangled Up in Blue 2. Simple Twist of Fate 3. You're a Big Girl Now 4. Idiot Wind 5. You're Gonna Make Me Lonesome When You Go 6. Meet Me in the Morning 7. Lily, Rosemary and the Jack of Hearts 8. If You See Her, Say Hello 9. Shelter from the Storm 10. Buckets of Rain
1. On a Night Like This 2. Going, Going, Gone 3. Tough Mama 4. Hazel 5. Something There Is About You 6. Forever Young 7. Forever Young (Continued) 8. Dirge 9. You Angel You 10. Never Say Goodbye 11. Wedding Song
声はまだ全盛期のような感じではなく、どちらかと言うとジョージハリソンの声色を真似て歌っているような印象があります。音楽的にはカントリーロックとしての純度が高く、Tough MamaやSomething There Is About Youはザバンドらしい曲になっています。ハイライトはForever Youngで、スローバージョンとテンポアップバージョンの二種類が収録されています。カントリーロックらしい曲になっています。
1. Main Title Theme (Billy) 2. Cantina Theme (Workin' for the Law) 3. Billy 1 4. Bunkhouse Theme 5. River Theme 6. Turkey Chase 7. Knockin' on Heaven's Door 8. Final Theme 9. Billy 4 10. Billy 7
何と言ってもこの作品のハイライトはガンズ&ローゼズなどがカバーしているKnockin' on Heaven's Doorでしょう。この曲を聴くだけでも価値があります。相変わらずAメロとBメロだけのシンプルな曲ですが覚え易く心に響く物があります。これだけシンプルでもいい訳です。日本ではやたらと創り込んでしまう傾向がありますが、こういうシンプルな曲で勝負出来なくなっている証拠でもあります。
他の歌物もいい曲がありますし、インストものもディランらしい曲になっており、全てオリジナルですのでオリジナルアルバムの一つとして聴いてもいいです。コアなファンになればこの作品でも大満足出来ます。いつも以上にリバーヴの聴いたKnockin' on Heaven's Doorにゴスペル調のコーラス。その歌はどこから響いてくるのか、ボブディランの復活はいよいよここから本格化していきます。
1. If Not for You 2. Day of the Locusts 3. Time Passes Slowly 4. Went to See the Gypsy 5. Winterlude 6. If Dogs Run Free 7. New Morning 8. Sign on the Window 9. One More Weekend 10. Man in Me 11. Three Angels 12. Father of Night
オリヴィアニュートンジョンがカバーして大ヒットとなったIf Not for Youが入っています。ディランのバージョンは結構迫力のある歌い方をしています。それにしてもこんなにポップでいい曲を創ってしまうなんてやはりディランは天才です。If Dogs Run Freeではジャズ風の曲をバックにトーキングスタイルの語り口が異色です。カントリータッチは相変わらずですがかなり幅広い音楽性も提示するようになりました。
1. All the Tired Horses 2. Alberta, No. 1 3. I Forgot More Than You'll Ever Know 4. Days of '49 5. Early Morning Rain 6. In Search of Little Sadie 7. Let It Be Me 8. Little Sadie 9. Woogie Boogie 10. Belle Isle 11. Living the Blues 12. Like a Rolling Stone 13. Copper Kettle [The Pale Moonlight] 14. Gotta Travel On 15. Blue Moon 16. Boxer 17. Mighty Quinn (Quinn the Eskimo) 18. Take Me as I Am (Or Let Me Go) 19. Take a Message to Mary 20. It Hurts Me Too 21. Minstrel Boy 22. She Belongs to Me 23. Wigwam 24. Alberta, No. 2
声は基本的に前作のような澄んだ声ですが、何曲かもとのしゃがれ声に戻りつつあるのもあります。69年のワイト島で行われたライヴ録音の4曲がありますがなぜこのようなアルバムを出したのか理解に苦しみますが、Self Portraitと言うタイトルから他人の曲をやって自分を見つめ直すと言う事でしょうか。ディランはよほどの天の邪鬼のようです。オープニングのall the tired horses in the sunでの美しいコーラスとストリングスを聴くと腰が抜けてしまいそうになります。
1. Girl from the North Country 2. Nashville Skyline Rag 3. To Be Alone With You 4. I Threw It All Away 5. Peggy Day 6. Lay Lady Lay 7. One More Night 8. Tell Me That It Isn't True 9. Country Pie 10. Tonight I'll Be Staying Here With You
Girl from the North Countryはディランの持ち歌ですが、ここでは大物カントリー歌手ジョニーキャッシュとデュエットしています。しかもディランは澄んだ声と言うオマケ付きです。このアルバムではその澄んだ声がより顕著で、別人のアルバムを聴いているような錯覚に陥ります。Nashville Skyline Ragでは初めてインスト曲になっています。ペダルスティールギターも美しいカントリー曲です。
コステロがカバーしたI Threw It All AwayやシングルヒットしたLay Lady Layなどカントリーとしても素晴らしい曲が並んでいます。Lay Lady Layはセックスを歌った問題作でもあります。そしてロックファンとしてはジェフベックグループがカバーしたTonight I'll Be Staying Here With Youが入っている事が魅力でしょう。ソウルフルなベエクのカバーですがここではカントリーロック的な美しいバラードになっています。カントリーではないような美しいコード進行がとても新しいです。
Country Pieもとてもチャーミングな曲で、とてもボブディランのアルバムだとは思えない作品です。恐らく始めからこの澄んだ声だったら彼は売れていなかったかもしれません。それほど特徴的な声を捨ててこの作品を創った思いは分からない所ではありますが、音楽的にはいい曲が沢山ありますので、これこそアナザーサイドなボブディランとして楽しんでみてはいかがでしょうか。
1. John Wesley Harding 2. As I Went Out One Morning 3. I Dreamed I Saw St. Augustine 4. All Along The Watchtower 5. The Ballad Of Frankie Lee And Judas Priest 6. Drifter's Escape 7. Dear Landlord 8. I Am A Lonesome Hobo 9. I Pity The Poor Immigrant 10. The Wicked Messenger 11. Down Along The Cove 12. I'll Be Your Baby Tonight
このアルバムの魅力はジミヘンがカバーしたAll Along The Watchtowerが入っている事です。エスパニックな雰囲気を持ったこの曲はテキサス辺りの西部劇を連想させます。I'll Be Your Baby Tonightのようなラブソングもあったり、ディランの中で明らかに変化が起こっています。しかしさすがにこのアルバムは結構売れております。それだけディランのカリスマ性は絶対的な物になっているのです。
ディスク:1 1. Odds and Ends 2. Orange Juice Blues (Blues for Breakfast) 3. Million Dollar Bash 4. Yazoo Street Scandal 5. Goin' to Acapulco 6. Katie's Been Gone 7. Lo and Behold 8. Bessie Smith 9. Clothes Line Saga 10. Apple Suckling Tree 11. Please, Mrs. Henry 12. Tears of Rage ディスク:2 1. Too Much of Nothing 2. Yea! Heavy and a Bottle of Bread 3. Ain't No More Cane 4. Crash on the Levee (Down in the Flood) 5. Ruben Remus 6. Tiny Montgomery 7. You Ain't Goin' Nowhere 8. Don't Ya Tell Henry 9. Nothing Was Delivered 10. Open the Door, Homer 11. Long Distance Operator 12. This Wheel's on Fire
1. Rainy Day Women #12 & 35 2. Pledging My Time 3. Visions of Johanna 4. One of Us Must Know (Sooner or Later) 5. I Want You 6. Stuck Inside of Mobile With the Memphis Blues Again 7. Leopard-Skin Pill-Box Hat 8. Just Like a Woman 9. Most Likely You Go Your Way (And I'll Go Mine) 10. Temporary Like Achilles 11. Absolutely Sweet Marie 12. 4th Time Around 13. Obviously 5 Believers 14. Sad Eyed Lady of the Lowlands
ニューオリンズスタイルの行進曲風Rainy Day Womenや名曲I Want Youなどでポップな曲も創っています。ジョンレノンのオーヨーコと言う曲は恐らくI Want Youを真似て創った曲です。Just Like a Womanはまるでジョンレノンが創ってもおかしくないような曲です。Most Likely You Go Your Wayは理解のないファンとの決別を歌っているような内容でトッドラングレンがカバーしていました。Sooner or Laterは先攻シングルでここで初めてザバンドがバックを務めています。この曲以外は憧れの土地カントリーの聖地ナッシュヴィルで録音されています。
圧巻は11分もあるSad Eyed Lady of the Lowlandsです。フォーク調の曲で11分も歌い続けると言うのはボブディランらしい曲ですが、バンドアンサンブルもあり飽きずに聴けます。こういう所がアヴァンギャルドでプログレッシヴだと言う印象を与えます。ブルーススプリングスティーンはボブディランの影響を受けていると言いますが、あまりそれっぽい曲はありません、しかしStuck Inside of Mobile With the Memphis Blues Againのスタイルはブルースプリングスティーンが感じられます。恐らくこのアルバムが一番近いのかもしれません。
1. Like a Rolling Stone 2. Tombstone Blues 3. It Takes a Lot to Laugh, It Takes a Train to Cry 4. From a Buick 6 5. Ballad of a Thin Man 6. Queen Jane Approximately 7. Highway 61 Revisited 8. Just Like Tom Thumb's Blues 9. Desolation Row
ディランのレコード自体はそれほど売れなくても、他のミュージシャンによるカバーで大ヒットした曲はありましたが、Like a Rolling Stoneは初めてディランの曲がトップテンに入ったヒット曲です。この曲はストーンズのブライアンジョーンズをイメージして創った曲だと言う説もあります。タイトルのHighway 61 Revisitedはジョニーウィンターもカバーしたブルースナンバーです。マイクブルームフィールドのギターソロが素晴らしいTombstone Bluesなど硬派な男のロックという感じがします。
ビートルズのヤーブルースの歌詞にも出てくるBallad of a Thin Manは物悲しいブルースでとてもボブディランらしい作品です。楽器をエレキに持ち替えても何も変わっていない事に気づくのが本来のファンの姿ではないでしょうか。しかしあらかじめ創っておいたLike a Rolling Stoneはまだフォーク的な部分が残っており、他のバンドセッションで創り上げた曲とはグルーヴ感が違います。60年代後半に流行り出すサザンロックを先取りした感もあります。
1. Subterranean Homesick Blues 2. She Belongs to Me 3. Maggie's Farm 4. Love Minus Zero/No Limit 5. Outlaw Blues 6. On the Road Again 7. Bob Dylan's 115th Dream 8. Mr. Tambourine Man 9. Gates of Eden 10. It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding) 11. It's All Over Now, Baby Blue
Mr. Tambourine Manは後にバーズがフォークロックと言う概念でヒットさせていき、そういった後継の活躍によりディランの評価も上がっていく事になりますが、真っ先に矢面に立って突き進んでいてたディランには罵倒の雨が降り掛かってきます。この頃から彼はステージであまり笑わなくなりました。ステージに立っても会釈もしません。ただ音楽のみを突き刺して帰っていくのです。こういう硬派なミュージシャンが少なくなってきた昨今。とてもカッチョイイのです。客に媚を売り素行良好なロックミュージシャンなんて何の魅力がありましょう。テレビに出てちゃんと挨拶が出来る最近のあんちゃんは逆に気味が悪いです。
1. All I Really Want to Do 2. Black Crow Blues 3. Spanish Harlem Incident 4. Chimes of Freedom 5. I Shall Be Free, No. 10 6. To Ramona 7. Motorpsycho Nitemare 8. My Back Pages 9. I Don't Believe You (She Acts Like We Never Have Met) 10. Ballad in Plain D 11. It Ain't Me Babe
音楽的にもロック的なコード進行になったりと、フォークロックのはしりとなるような内容になっています。それまでのファンには戸惑いはあったかもしれませんが、私は個人的には最も好きなアルバムの一枚です。All I Really Want to Doはシェールがカバーしていたり、ワールドパーティーもカバーしていました。フォーク的なのにロックのような流れを持った不思議な曲です。これがフォークロックと呼ばれる物です。Black Crow Bluesでは初めてピアノも登場してきます。しかし決して邪魔にならないどころかディランの歌によくあっています。
It Ain't Me Babeは明らかにロックに影響を受けた曲です。若い頃はロックンロールを聴いていたボブディランですし、アメリカ最高の詩人としてチャックベリーを上げている事からロックの資質も持ち合わせていた事が分かります。これまでのようなマイナーな重悲しい悲壮な曲調の曲がなくなり、心地良く聴き通せます。Motorpsycho Nitemareはもろロックンロールです。ブルースフォークをフォークロックンロールにする事はそれほど不自然な事ではない事が分かると思います。
しかし、当時はこのようなジャンルのミクスチャーは判別出来る概念が無い為理解されるまでに時間がかかってしまいます。ですがビートルズと同じ時期に存在している事が彼を後押しします。お互いの音楽性が交差していくのです。ですからロックファンにもディランは支持されるようになるのです。My Back PagesのようにMr.タンブリングマンの原型のような曲がこの後のディランの音楽性を予感させます。まだフォークロックと言う言葉が無かった頃に出された革新的な名盤です。
1. Times They Are A-Changin' 2. Ballad of Hollis Brown 3. With God on Our Side 4. One Too Many Mornings 5. North Country Blues 6. Only a Pawn in Their Game 7. Boots of Spanish Leather 8. When the Ship Comes In 9. Lonesome Death of Hattie Carroll 10. Restless Farewell
1. Blowin' in the Wind 2. Girl from the North Country 3. Masters of War 4. Down the Highway 5. Bob Dylan's Blues 6. Hard Rain's A-Gonna Fall 7. Don't Think Twice, It's All Right 8. Bob Dylan's Dream 9. Oxford Town 10. Talking World War III Blues 11. Corrina, Corrina 12. Honey, Just Allow Me One More Chance 13. I Shall Be Free
Blowin' in the Windはあまりにも有名な曲で彼の代表曲でありますが、それ以外の曲でも重要な曲ばかり揃った名盤であります。ブライアンフェリーがゴスペル調にアレンジしてカバーしたHard Rain's A-Gonna Fallも有名ですが、聴いてもらったら分かる通りボブディランの曲はAメロとBメロしかありません。つまりAメロがサビだったりBメロがサビだったりする単純な曲ばかりです。それなのにこのHard Rain's A-Gonna Fallは5番まであります。歌詞を聴かせる為に曲がある訳です。本来全く寄り道をしないで5番まで聴かせると言うのはポップスではあってはいけない作風ですが、このごり押しの5番まで歌ってしまうボブディランはある意味アヴァンギャルドなアーティストなのです。そこが格好良かったりするのです。
Girl from the North Countryのような美しい曲もあるのですがほとんどが反戦の歌だったりします。Masters of Warなどはそのもっともな曲です。Talking World War III BluesもそうですがDon't Think Twice, It's All Right のようなポップな曲もあります。しかし字余りなボブディランの歌い方はポップスと呼ぶには独創的です。後にブルーススプリングスティーンがこの歌い方を真似して字余りな歌い方もポップになりました。しかし字余りに歌うのは結構難しいものです。
1. You're No Good 2. Talkin' New York 3. In My Time of Dyin' 4. Man of Constant Sorrow 5. Fixin' to Die 6. Pretty Peggy-O 7. Highway 51 Blues 8. Gospel Plow 9. Baby, Let Me Follow You Down 10. House of the Risin' Sun 11. Freight Train Blues 12. Song to Woody 13. See That My Grave Is Kept Clean
In My Time of Dyin'はツェッペリンもカバーしたブルースナンバーで、ギターの弾き方などを聴くとジミーペイジがパクっているのがよく分かります。House of the Risin' Sunも有名な曲ですが、見事に暗いフォークソングになっています。当時はまだまだ若いディランですが、既に燻し銀のような老けた音楽をやっています。当時の若者は今では想像もつかないくらい大人びていたのです。決して綺麗な音楽とは言えない彼の歌ですが、魂を揺り動かすほどの説得力を持っています。オリジナルが少なくても聴き応えのある作品です。
恐らくサージェントペッパーと同じ時期に発表されていれば、ロックの歴史を変えるくらいの意味を持った幻の名盤です。発表出来ないまま、完成出来ないまま長い時間眠っていた作品です。ビーチボーイズの活動を離れ、ソロ活動をしていたブライアンウィルソンに若い才能あふれるワンダーミンツというバンドとの交流が始まります。ビーチボーイズの曲をそのままコピー出来てしまう彼らならスマイルを完成させる事が出来るかもしれないという期待も持っていましたが、忌まわしい過去からその希望は封印していました。そんな事情を知らないある女性がブライアンにHeroes and Villainsを演奏して欲しいとおねだりした事がきっかけでした。嫌がりながらも彼女の頼みを聞いて演奏したブライアンに心境の変化が生まれてきます。当時は再現するにはメンバーの力不足もありましたが、今ならワンダーミンツがいます。もしかしたら再現出来るかもしれないと言う思いが彼を突き動かします。
1. Our Prayer / Gee 2. Heroes and Villains 3. Roll Plymouth Rock 4. Barnyard 5. Old Master Painter / You Are My Sunshine 6. Cabin Essence 7. Wonderful 8. Song For Children 9. Child Is Father of the Man 10. Surf's Up 11. I'm In Great Shape / I Wanna Be Around / Workshop 12. Vega-Tables 13. On a Holiday 14. Wind Chimes 15. Mrs. O'Leary's Cow 16. In Blue Hawaii 17. Good Vibrations
アルバムCarl and the Passions-So Tough、Holland とブライアンウィルソンの精神状態はかなり不安定でレコーディングすらも出来ない状態でした。そして前作に当たる15 Big Ones で何とかカムバック。しかし大半の曲がカバー曲でしたので、完全な復活を果たしたのがこのアルバムになります。ブライアン節全開のポップアルバムになっているのですが売り上げは伸びず、カバー曲が多かった15 Big Onesの方が売り上げがいいという皮肉な結果になりました。しかしこのアルバムは往年のビーチボーイズに匹敵するほどの素晴らしい出来映えになりました。
1. Let Us Go on This Way 2. Roller Skating Child 3. Mona 4. Johnny Carson 5. Good Time 6. Honkin' Down the Highway 7. Ding Dang 8. Solar System 9. Night Was So Young 10. I'll Bet He's Nice 11. Let's Put Our Hearts Together 12. I Wanna Pick You Up 13. Airplane 14. Love Is a Woman
コーラスワークもビーチボーイズらしいボイシングが復活しています。Night Was So Youngなど見事な曲が感動的です。I'll Bet He's Niceではシンセの使い方がスマイリースマイルのようで面白いです。ロッカバラードのLove Is a Womanもブライアンらしい曲です。正に完全復活した事を感じさせる素晴らしいアルバムです。この後メンバーに変動があったり、デニスが事故死したりと不安定ながらもいまだに解散宣言は成されていません。突然再開する事も考えられますが、ブライアンはソロ活動の方が楽しそうです。この後もいい作品が続くのですが紹介はここまでにします。明日は最後に幻の名盤スマイルを紹介します。
1. Don't Go Near the Water 2. Long Promised Road 3. Take a Load off Your Feet 4. Disney Girls (1957) 5. Student Demonstration Time 6. Feel Flows 7. Lookin' at Tomorrow (A Welfare Song) 8. Day in the Life of a Tree 9. 'Til I Die 10. Surf's Up
時代は70年代を越えており、ハードロックが主流になっていました。しかしポップスもヒットしていましたし、ビーチボーイズはあくまでも良質なポップスを提供していました。Disney Girlsのような3拍子のバラードも定番になってきています。もう初期の頃のようなコーラスハーモニーは聴けませんが、曲の中でなんとかハーモニーをとっています。Day in the Life of a Treeのような大人ならではのほのぼのとした美しい曲も作れるようになっています。
1. Meant for You 2. Friends 3. Wake the World 4. Be Here in the Morning 5. When a Man Needs a Woman 6. Passing By 7. Anna Lee, The Healer 8. Little Bird 9. Be Still 10. Busy Doin' Nothin' 11. Diamond Head 12. Transcendental Meditation
1. Wild Honey 2. Aren't You Glad 3. I Was Made to Love Her 4. Country Air 5. Thing or Two 6. Darlin' 7. I'd Love Just Once to See You 8. Here Comes the Night 9. Let the Wind Blow 10. How She Boogalooed It 11. Mama Says
スティーヴィーワンダーのI Was Made to Love Herをカバーしている事により、ソウル色を全面に押し出しています。タイトルのWild Honeyではグッドバイブレーションで聴かせたテルミンサウンドが聴けます。Mama Saysはスマイル用にレコーディングされたヴェジタブルの一部が使われています。スマイルに対する絶対的な未練がこの後もその断片を小出しにしていくと言う形に表れます。
1. Heroes and Villains 2. Vegetables 3. Fall Breaks and Back to Winter (W. Woodpecker Symphony) 4. She's Goin' Bald 5. Little Pad 6. Good Vibrations 7. With Me Tonight 8. Wind Chimes 9. Gettin' Hungry 10. Wonderful 11. Whistle In
シングルカットされたHeroes and VillainsとGood Vibrationsは何とかヒットしました。特にGood Vibrationsはビーチボーイズを代表する名曲となっています。いくつかのパートを別々に録音しており、それをテープを切り貼る編集にて1曲に仕上げるというビートルズのストロベリーと同じ手法をとっています。こちらの方が先にやっていますが、これをそのままコピーしたトッドラングレンのカバーも本物そっくりで驚かされます。他のほとんどの曲も同じ手法がとられており、効果音などかなり難解な作品になっていますが、脳天気な音楽ばかり聴いていたこれまでのファンには受け入れられませんでした。サイケデリックを見直す風潮が出てきて後に評価されるようにはなりましたが、ペットサウンズに比べると完成度が低いため、やはり評価は低いようです。
1. Wouldn't It Be Nice 2. You Still Believe 3. That's Not Me 4. Don't Talk (Put Your Head on My Shoulder) 5. I'm Waiting for the Day 6. Let's Go Away for Awhile 7. Sloop John B. 8. God Only Knows 9. I Know There's an Answer 10. Here Today 11. I Just Wan't Made for Times Like These 12. Pet Sounds 13. Caroline, No 14. Hang on to Your Ego [Bonus Track]
まずアレンジが格段に違います。テンションコードを多用し、ベースラインはルート音にこだわらず浮遊していきます。そしてそこにのる旋律がとてつもなく美しいのです。Wouldn't It Be Niceではフィルスペクター風でありながらもビーチボーイズらしい作品に仕上げています。God Only Knowsはデヴィッドボーイがカバーしていました。これまでのサーフィンやホットロッドといったテーマはもうありません。その為かこのアルバムは出来映えに反して売れませんでした。脳天気なアメリカでは評価されなかったのです。その代わりイギリスや日本では名作として扱われます。
Sloop John Bもフィルスペクター風ですが、そのアレンジの素晴らしさは遥かに上をいっています。Caroline, Noも素晴らしい曲です。捨て曲無しの名盤です。しかしこれが売れなかった事がさらにブライアンウィルソンを追いつめていく事になります。このアルバムを聴いたビートルズ、特にポールマッカートニーはこの他にフランクザッパなどからも刺激を受けてサージェントペッパーを創り出していく事になるのです。つまりビートルズを追い抜こうとして創ったこのアルバムが、さらにビートルズに上のステージに登らせる結果となったのです。
1. Girl from New York City 2. Amusement Parks, U.S.A. 3. Then I Kissed Her 4. Salt Lake City 5. Girl Don't Tell Me 6. Help Me, Rhonda 7. California Girls 8. Let Him Run Wild 9. You're So Good to Me 10. Summer Means New Love 11. I'm Bugged at My Ol' Man 12. And Your Dream Comes True
Then I Kissed Herはキッスもカバーしたフィルスペクターのカバー曲です。沖縄民謡とブルーノートは同じ音階であり、リズムを帰るとこのように沖縄のような感じの音楽になるのです。Girl Don't Tell Meはまるでビートルズのような曲になっています。California Girlsはこれまたビーチボーイズを代表するヒット曲です。ビーチボーイズらしい曲を何とか用意したブライアンでしたが、この辺りからレコード会社との確執が生まれていきます。
All Summer Longは素晴らしいアルバムでした。その勢いを継承しつつもビーチボーイズに大きな転換期がまいります。それはブライアンウィルソンのドラッグ体験です。ジャズ界では当たり前になっていたドラッグ摂取ですが、この頃からロック界でも常用者が増えていきます。この体験は後のサイケデリックサウンドを生み出していくのですが、よりレコーディングに専念するようになったブライアンはバンドのツアーに同行しなくなります。ライブではブライアンの代行が立てられ、ブライアンはスタジオにこもってスタジオミュージシャンを使ってバックサウンドをレコーディング。ステージから戻ってきたメンバーがそれに歌をかぶせていくと言うスタイルが出来上がっていきます。その最初の作品がこのアルバムです。
1. Do You Wanna Dance 2. Good to My Baby 3. Don't Hurt My Little Sister 4. When I Grow Up (To Be a Man) 5. Help Me, Rhonda 6. Dance, Dance, Dance 7. Please Let Me Wonder 8. I'm So Young 9. Kiss Me, Baby 10. She Knows Me Too Well 11. In the Back of My Mind 12. Bull Session with "Big Daddy"