The Hobo King Bandではなく、佐野元春を聴いて育った若い世代のミュージシャンと制作したアルバムです。2007年発売で、今の所の最新作です。コヨーテという一人の男を主人公とした架空のサウンドトラック盤と言うコンセプトで創られています。若手とのコラボレートで、かなり新鮮なくらいに若々しい演奏が聴けます。
1. part 1::星の下 路の上 2. part 1::荒地の何処かで 3. part 1::君が気高い孤独なら 4. part 1::折れた翼 5. part 1::呼吸 6. part 1::ラジオ・デイズ 7. part 2::Us 8. part 2::夜空の果てまで 9. part 2::壊れた振り子 10. part 2::世界は誰の為に 11. part 2::コヨーテ、海へ 12. part 2::黄金色の天使
21世紀となって、自身のレーベルDaisyMusicを発足してからの第一弾アルバムになります。The Hobo King Bandと創り上げた作品ですが、サザンロックにこだわる事無く、佐野元春らしいポップな内容になっています。月や太陽を題材として分かり易いメッセージ性も持っています。昔からのファンも楽しめる内容ですが、流石にこれまでいろんな事を経験してきた熟練の巧さが出てきており、とても気持ちのいい音楽に満ちています。
バンドスタイルにこだわっていた佐野元春でしたが、久々にデジタル環境での制作と言う事で、ヒップホップ感覚もありの、久々のポップアルバムになっています。ライブではThe Hobo King Bandと演奏する訳ですが、こうした作品を創った事により、ライブでもデジタルビートも導入するようになっていきます。デジタルビートだけではなく、バンドスタイルでのポップソングも創っています。勿論それらもパソコン上で創られているのです。
バンドと創り上げたサザンロックをやっていた反面、こうした作品も創りたいという思いはあったのでしょう。昔からのファンも楽しめる内容になっています。ただThe Hobo King Bandとやっていた作品に比べると、どうしても軽く見られがちになってしまうアルバムですが、佐野元春のこの頃の歌い方はニールヤングの影響なのか、ファルセット気味の妖しい中性的なグラマラスな存在感を持っています。グラマラスでサイケデリックといえば、ロックとしては最強の組み合わせであり、それこそが気持ちいい状態だと感覚で分かっている佐野元春はロックの申し子だと言わざるえません。
バックバンド名もThe Hobo King Bandと正式に決まって、ザバンドが好きな彼らはついにザバンドの初期の頃のプロデューサーであるジョン・サイモンをプロデューサーに迎えて、ザバンドの初期の作品を録音していたウッドストックまで出向き、このアルバムをレコーディングするというフリークぶりを実らせ、前作以上にサザンロックした名盤を創り上げました。