又、バンドにはもう一人のギタリストを立ててました。ウィリー・ジョンソンやヒューバート・サムリンです。カバーされた曲はクリームのSitting On Top Of The WorldとSpoonful。ローリングストーンズのLittle Red Rooster。ジェフベックグループのI Ain't Superstitious。ドアーズのBack Door Manなど、きりがありません。どの曲も個性的なものが多いです。
又、60年代後半にはマディ・ウォーターズのElectric Mudの続編のようなサイケデリックアルバムThe Howlin' Wolf Albumを出してロック寄りになっていくのですが、本人はこのアルバムを出すのをものすごく嫌がっていたそうですが、レコード会社の意向で仕方なく、サイケな作品を出していました。
マディ・ウォーターズはシカゴブルースの父と呼ばれています。都会で洗練されてきたブルースに、デルタブルースのような泥臭さを蘇らせ、エレキギターを使ったブルースを定着させ、シカゴブルースの礎を築きました。Hoochie Coochie ManやGot my Mojo Workin'のような黒人特有のスラングを使った曲が多く、黒人っぽいブルースのイメージそのものの人です。ローリングストーンズは彼のローリングストーンと言う曲からバンド名をつけています。
Manish BoyはI'm a Manと言う曲名でもお馴染みで、ヤードバーズやストーンズ、ドクターフィールグッドがカバーしています。彼のバンドにはブルースハープをマイクで歪ませるというスタイルも定着させ、ベースのWillie Dixonは作曲者として多くの有名曲を作曲しています。ツェッペリンなどがやるブルースの作曲者として良く目にする名前です。マディ・ウォーターズは精力の塊のような人物で、その男臭さが売りです。
Electric Mudというアルバムではサイケデリックにも挑戦しており、ロックへの接近も行っています。ほとんどのロックミュージシャンへの影響があると言ってもいいです。それとボトルネック奏法も使います。これはウィスキーのボトルの頭の細い所を切り落として、それを指にはめてギターのネック上をスライドさせて演奏します。スライドギターとも言います。後に金属のスライドバーが出回りますが、瓶で出す音とは音が違うので、私も瓶を切り落としてボトルネックを拵えた事があります。勿論切り口は磨いて指が切れないようにしなければなりません。
ブルース三大キングの最後はフレディキングです。彼もクラプトンに大きな影響を与えていて、Hideaway、Have You Ever Loved A Womanをカバーしたクラプトンのバージョンは大変有名です。割と最近のブルースメンなので、ギターもディストーションが効いています。彼のプレイからはアルヴィンリーが連想されます。それだけロックに近いプレイをしています。
かなりチョーキングを多用するギタリストで、60年代後半のビッグブルースに一番影響を与えています。それだけ現代的なブルースになっています。Born Under A Bad Signのように悪い星の元に生まれてという悲観的な歌詞が多いのもブルースの特徴です。それは奴隷時代から歌い継がれてきたフレーズがあるからですが、彼等の時代もまだまだ差別がひどかったのです。特に南部のテキサスなどはKKK団がいたくらいなので、黒人差別は根深くありました。
ブルースギタリストには三人のキングがいます。その一人がこのB. B. Kingです。エリッククラプトンがロバートジョンソンと共に一番影響を受けたギタリストです。ミシシッピーからブルースはデトロイトのシカゴへと流れ着いて、バンドスタイルのモダンなブルースへと発展していきます。その時代の打表的なブルースギタリストです。
現在当たり前になっているロックギター奏法のほとんどはこのB. B. Kingのスタイルをルーツとしています。チョーキング、ハンマリングオン、プリングオフ、3連、6連のフレージングなど、彼のテクニックをクラプトンがほとんど受け継いでいて、それがロックギターの基礎となりました。それまでのギターはクラシック以外ではジャズのような伴奏用の演奏とかで、ジャズでもリードギターを弾くようになりますが、チョーキングはというテクニックはなかったので、ネック側の親指はネックの真ん中にそえて動き易くするのが常識でした。
ただ、クラプトンのような白人の細い指でのチョーキングはきついので、0.09からの弦の細いセットを利用する事により、より滑らかなチョーキングをものにします。しかし、B. B. Kingのような黒人ギタリストは0.11から始まる太い弦のセットを使用している為に、チョーキングはそれほど滑らかではありません。ただ、指がデカイので、人差し指チョーキングなど軽々とやってのけます。
B. B. Kingの時代になると、バンドサウンドで、ホーンなども取り入れたソウルフルなゴージャズなブルースになっています。しかし、あくまでも黒人用の音楽であり、白人から認められのには時間がかかりました。黒人差別がいつまでも残っていたからです。しかし、差別が少ないイギリスに輸出されて、ブルースは若者の音楽として広がっていく事になります。
最近では山崎まさよしが弾き語りの参考としてロバートジョンソンを聴きまくっていました。ほとんどのギタリストに影響を与えたと言ってもいいくらいの存在なのです。代表曲はCrossroadやSweet Home Chicago、Come On In My Kitchenなどです。まだ明確なチョーキングは聴き取りにくいと思います。録音も古いですし、チューニングも微妙です。彼のようなミシシッピー出身のブルースメンをデルタブルースと呼びます。流しなので特定の場所には留まらず、様々な都市に出向いていく事になります。そしていつしかブルースは大都会へも進出する事となります。
1. Dance Cinderella 2. Fatse Faces 3. Land of Passion 4. Black Stockings 5. Mean Lean 6. Music Forever 7. Strange Girl 8. What are we Going To Do 9. Swan Lake
自身の過去の作品、Land of Passion、Music Forever、What are we Going To Doなどもラテンにアレンジし直されています。曲自体はラテンの素材ながら、以前はフュージュンスタイルに仕上がっていました。それをあえてラテンらしさを強調し直したのです。そしてチャイコフスキーのSwan Lakeもラテンアレンジでカバーしています。
1. Tenderly 2. Unforgettable 3. Mona Lisa 4. Smile 5. Too Young 6. Darling Je Vous (Aime Beaucoup) 7. Very Thought Of You 8. Answer Me 9. Smile (Vocal Version)
娘のナタリーコールとのデュエットでも有名なUnforgettableは永遠の名曲ですし、Mona Lisaはモナリザという映画でも蘇った名曲です。Smileはコステロがカバーして最近でも愛されている名曲です。Darling Je VousではAime Beaucoupという女性シンガーが歌っています。
1. Seven Steps 2. My Ship 3. Land Of Passion 4. Lida Rose 5. Dat Over Dare 6. Life Cycles 7. Mean Lean 8. My Ship 9. Morning Star
ジャズというカテゴリの中で、フルートという楽器がどれほど響きものなのかを追求したようなアルバムです。過去にフュージュンテイストだったLand Of Passionをアコースティック楽器で再演している辺りに、その意図を感じます。スウィングするというジャズ独特のリズムは、民族音楽の派生の中でも最も進化したものであり、西洋音楽とぶつかりあって発展してきたジャズの栄光の日々を物語るような感じさえします。
ソニーに残している80年代の作品、Land of Passion、Family、Make It Lastは入出不可になっています。レアグルーヴの題材にはうってつけの作品群ですので、ビニール盤はあるようです。このアルバムからはMusic Masters Jazzレーベルに移籍しています。フュージュンスタイルですが、ラテンのリズムが目立ちます。
1. Malaguena 2. My Time Will Come 3. It's So Crazy 4. Shades Of Light 5. Valse 6. Make It Last 7. Moonlight Sonata
1. Modadji 2. Feel Like Making Love 3. Farandole 4. Scheherazade
バックメンバーはボブジェイムスとハーヴィーメイソン、ゲーリーキングにグレンデアドロフです。スタジオ録音ではストリングスも入ります。Feel Like Making Love はロバータフラッグの有名なバラード曲です。この時代になると、完全にフュージュンスタイルになっており、ハーヴィーメイソンのファンキーなリズムにキースジャレット並みの演奏をしているボブジェイムスも楽しめます。
1. Chicago Theme 2. Midnight at the Oasis 3. You Make Me Feel Brand New 4. Going Home 5. I Had a Dream 6. Inflation Chaser
タイトル曲のChicago Theme は70年代に流行った黒人B級アクション映画のテーマ曲と同様に、ギターのワウカッティングが印象的な曲です。こうした曲が後の燃えよドラゴンのテーマ曲の参考になっています。You Make Me Feel Brand New はスタイリスティックスの名曲のカバーで、ディスコ調のアップテンポなアレンジがなされています。今作はボブジェームスがアレンジを担当しており、彼の出世作ともなっています。
Going Home はドヴォルザークの家路です。ハードなファンクフュージュンナンバーにアレンジされています。このポップなのに荘厳なくらいのアルバムでHubert Lawsは一躍ソウル系のファンからも注目されるようになります。これまでの独創的な音楽性から一気に都会的な音楽に変貌したのですが、それでもこのアレンジの決まり具合はただものではありません。大名盤です。
1. Fire and Rain 2. Allegro from Concerto No. 3 in D 3. Theme from Love Story 4. Passacaglia in C Minor 5. Flute Sonata in F
曲の題材も、バッハ,協奏曲第3番,ニ長調。バッハ,のパッサカリア,ハ短調。モーツァルト,フルート・ソナタ,へ長調をジャズというか、洗練されたフュージュンアレンジしています。その他にジェイムス・テイラーのFire and Rain。映画音楽のある愛の詩のテーマをジャズアレンジしています。ジャズというより、CTIらしいスムースジャズになっています。
1. LA JEAN 2. LOVE IS BLUE/SING A RAINBOW 3. CRYING SONG 4. LISTEN TO THE BAND 5. I'VE GOTTTA GET A MESSAGE TO YOU 6. FEELIN' ALRIGHT? 7. CYMBALINE 8. HOW LONG WILL IT BE? 9. LET IT BE
ロックとの融合という事で、トラフィックのFEELIN' ALRIGHTやビートルズのLET IT BEもカバーしています。マイルスのようなリズムの追求とは違って、音楽構成などを導入しています。フルートという楽器も、こうした西洋音楽との方が相性のいいので、この後はクラシックとジャズの融合などがテーマになっていきます。この作品はどこかフラワームーヴメントの臭いがする野暮ったさが貴重な作品だと思います。
1. The Laws Of Jazz: Miss Thing 2. The Laws Of Jazz: All Soul 3. The Laws Of Jazz: Black Eyed Peas And Rice 4. The Laws Of Jazz: Bessie's Blues 5. The Laws Of Jazz: And Don't You Forget It 6. The Laws Of Jazz: Bimbe Blue 7. The Laws Of Jazz: Capers 8. Flute By-Laws: Bloodshot 9. Flute By-Laws: Miedo 10. Flute By-Laws: Mean Lene 11. Flute By-Laws: No You'd Better Not 12. Flute By-Laws: Let Her Go 13. Flute By-Laws: Strange Girl 14. Flute By-Laws: Baila Cinderella
このCDは最初期のThe Laws of JazzとFlute By-Lawsをカップリングしたものです。The Laws of Jazzでは当時の流行だったファンキージャズになっています。Flute By-Lawsもファンキージャズだと言ってもいいのですが、ラテンのリズムを取り入れています。
Music MastersレーベルからConcord Jazzへ移籍して、心機一転を計った作品ですが、これが最後のオリジナルアルバムとなりました。参加メンバーはJoe Sample、ケイ赤城、Abraham Laboriel、Andy Martin、Greg Phillinganes。Ray Brown、Rick Braun、Steve Boydとなっております。
1. Keep On Keepin' On 2. Do You Have Any Sugar? 3. Stuff You Gotta Watch 4. Far Too Little Love 5. Pause To Wonder 6. Favorite Heart 7. Calling You 8. Back In The Day 9. 2 RBs 10. Monte Cristo 11. Bar Fly
Music Mastersレーベルに最後に残したこのアルバムはセッションライブからセレクトされた選曲になっています。ですから昔の代表曲が演奏されています。タイトルのTはMr. T.というTurrentineの愛称からタイトルによくTという文字がついてきます。
1. Don't Mess With Mr. T. 2. A Little Sweetness 3. I Haven't Got Anything Better To Do 4. Impressions 5. Terrible T. 6. The Island 7. Touching 8. Side Steppin'