ジョンの魂と同時期に録音されて、同時期に発売されたオノヨーコのソロアルバムです。ジョンとは共作があるので、ジョンの作品と同時進行で紹介していきます。このアルバムもジョンの魂と同じタイトルでPlastic Ono Bandとなっています。バックメンバーは同じですが、ここではフリージャズの巨匠オーネットコールマンが参加しています。オノヨーコは前衛音楽をそのまま自分のスタイルとして発信しています。
1. Why 2. Why Not 3. Greenfield Morning I Pushed An Empty Baby Carriage All Over The City 4. AOS 5. Touch Me 6. Paper Shoes 7. Open Your Box 8. Something More Abstract 9. The South Wind
ビートルズ解散後に出された本格的なソロアルバムです。邦題はジョンの魂。正に魂を絞り出すようなジョンの歌い方が印象的です。ジョージと同様にレットイットビーのリメイクで意気投合したフィルスペクターをプロデュースに製作されています。Plastic Ono Bandとされているメンバーは、リンゴ・スター(ドラムス)、クラウス・フォアマン(ベース)、ビリー・プレストン(ピアノ)で、ほとんどドラムとギターとベースのみの贅肉をそぎ落としたような剥き出しの赤裸々なジョンレノンが歌われています。
1. Mother 2. Hold On 3. I Found Out 4. Working Class Hero 5. Isolation 6. Remember 7. Love 8. Well Well Well 9. Look At Me 10. God 11. My Mummy's Dead 12. Power To The People 13. Do The Oz
I Found OutとWell Well Wellはジョンがビートルズ後期から得意としていたブルース調の曲で、I WANT YOUのようなギターフレーズとユニゾンして歌われるシンプルながら強烈なブルースです。チープトリックのThe Ballad of T.V. Violence の元ネタと言っていいでしょう。Godではオーティスレディングのバラードと同じコード進行で、これまでのジョンのアイドル、プレスリー、ボブディラン、そしてビートルズへの決別を宣言し、ただ信じられるのは自分とヨーコだけだと断言している強烈な歌です。このコード進行で、RCサクセションはスローバラードを創っています。ビートルズと言う夢から覚めさせられる歴史的な名盤です。
1. Blue Suede Shoes 2. Money 3. Dizzy Miss Lizzy 4. Yer Blues 5. Cold Turkey 6. Give Peace A Chance 7. Don't Worry Kyoko (Mummy's Only Looking For...) 8. John, John (Let's Hope For Peace)
カバー曲はビートルズでも同じもの曲で、その他にクラプトンが参加していたと噂されるYer Bluesを演奏していますので、間違いなくアレはクラプトンのギターだった事が証明されています。Cold Turkeyはジョンの新曲で、Cold Turkeyとはスラングで禁断症状の事で、ヨーコが妊娠した時にドラッグを止めた時の禁断症状の厳しさを表現しています。Give Peace A Chanceはベッドインの時に作曲された曲で、ラブ&ピースの象徴的な曲として親しまれました。
後半のDon't Worry KyokoとJohn, John はヨーコの雄叫びとジョンのフィードバックによる前衛的な曲ですが、これにクラプトンがつきあっているというのが興味深いものです。まだビートルズ解散前の作品ですが、この作品によって、もうジョンはビートルズには戻らない事を誰もが確信したと思います。いろんな意味で歴史的な作品です。
1. John & Yoko 2. Amsterdam 3. Who Has Seen The Wind? 4. Listen, The Snow Is Falling 5. Don't Worry Kyoko (Mummy's Only Looking For Her Hand In The Snow)
アナログ盤ではA面がJohn & Yokoで、ひたすらジョンはヨーコを呼び続け、ヨーコはジョンと呼び続けている内容です。バックに流れているのは、前作で使った胎児の鼓動を使い回しているようです。つまり、子供も含めた3人での共同作業という事になります。感情の起伏を変化させながら名前を連呼する様は、又敵を増やしそうな内容ですが、セルジュ・ゲンスブールとブリジット・バルドーのJe t'aime... moi non plusのようなスキャンダラスな作品を連想させます。
No Bed for Beatle Johnでは入院中にヨーコとジョンが前作について書いてある新聞記事を旋律も与えながら朗読しているもので、Baby's Heartbeatでは妊娠している胎児の鼓動を録音したものを編集したものです。Two Minutes Silenceでは全くの無音状態を2分間続けており、ビニールレコードでは、ただレコードの針がレコード盤の溝を滑る音のみが聴こえていました。Radio Playではラジオをいじって発生する音をつなぎあわせた作品になっています。どれも現代音楽、前衛音楽として成り立っており、その斬新なアイデアは現代音楽においても抜群のセンスを持った作品となっていますが、ポップフィールドの人間には理解されませんでした。
ボーナストラックとしてSong for JohnとMulberryが入っていますが、これらはヨーコが創った曲です。ジョン曰く、ヨーコは自分では遥かに及ばないほどの天才だと評価していますが、その言葉の真意が理解されるまでには、かなりの時間が必要でした。ヨーコのアイデアにジョンは新たなアイデアを加え、ヨーコは更にアイデアを加えていくという、最強のコンビネーションをもった2人にとって、ビートルスはもう必要のないものになっていました。
1. Any Road 2. Vatican Blues (Last Saturday Night) 3. Pisces Fish 4. Looking for My Life 5. Rising Sun 6. Marwa Blues 7. Stuck Inside a Cloud 8. Run So Far 9. Never Get Over You 10. Between the Devil and the Deep Blue Sea 11. Rocking Chair in Hawaii 12. Brainwashed
1. She's My Baby (with Gary Moore) 2. Inside Out 3. If You Belonged To Me 4. The Devil's Been Busy 5. 7 Deadly Sins 6. Poor House 7. Where Were You Last Night? 8. Cool Dry Place 9. New Blue Moon 10. You Took My Breath Away 11. Wilbury Twist
She's My Babyではゲイリームーアがリードギターで参加しています。この曲だけがハードロックしています。全体的には前作と同じく、カントリーフォークロックな内容になっています。レコード会社を超えて集まったメンバーだけに匿名にしていますが、よほどこのメンバーでの創作が心地良かったようです。
1. Handle With Care 2. Dirty World 3. Rattled 4. Last Night 5. Not Alone Any More 6. Congratulations 7. Heading For The Light 8. Margarita 9. Tweeter And The Monkey Man 10. End Of The Line 11. Maxine 12. Like A Ship
1. Cloud Nine 2. That's What It Takes 3. Fish On The Sand 4. Just For Today 5. This Is Love 6. When We Was Fab 7. Devil's Radio 8. Someplace Else 9. Wreck Of The Hesperus 10. Breath Away From Heaven 11. Got My Mind Set On You 12. Shanghai Surprise (Bonus track) 13. Zig Zag (Bonus track)
時代はMTV全盛期であり、PV製作の元祖とも言えるビートルズの元メンバーとしても、しっかりPVを創り、Got My Mind Set On You、When We Was Fab、This is Loveと立て続けにシングルをヒットさせました。特にJames RayのカバーGot My Mind Set On Youは久々のビッグヒットとなりました。When We Was Fabはビートルズの事を歌っています。ビートルズを別名、優れた四人という意味でFAB FOURと呼ばれていました。現在漫画のファブフォーという名前は、ここからきています。
ビートルズオタクのジェフリンとは、後にTraveling Wilburysを組みますが、彼が製作や作曲に加わっている事で、ELO的ではありますが、ビートルズテイストが満載です。特にWhen We Was Fabはジョンのウォルラスのようなサイケポップな曲になっています。ジャケットのグレッチのデュオ・ジェットはビートルズの初期の頃に使っていたギターで、ジェフリンの存在によりビートルズ的な曲をやる事を恥じなくなった事の表れになっています。全体的にはELO的なリズムの創りになっていますが、これによりジョージハリソンが蘇ったので、ファンとしては大歓迎であります。久々の名盤です。
1. Wake Up My Love 2. That's The Way It Goes 3. I Really Love You 4. Greece 5. Gone Troppo 6. Mystical One 7. Unknown Delight 8. Baby Don't Run Away 9. Dream Away 10. Circles 11. Mystical One-Demo Version
Wake Up My Loveではいきなり、80年代ならではのデジタルシンセによるニューウェイブなサウンドから始まります。これだけでもファンに取っては期待出来ない作品という印象を創ってしまいます。 I Really Love Youはドゥーワップのカバー曲で、Circlesはビートルズ時代に創っていた曲のリメイクになります。タイトル曲のGone Troppoなど、トロピカルで軽快な曲が多いです。これは10CCもこの時代はトピカーナしていましたので、その傾向はあったのかもしれませんが、これまでイギリス的だったジョージの作品とはかけ離れている為に、評判はよくありません。
レイ・クーパーによるプロデュース作品ですが、前作がさほど売れなかった為に、もっとアップテンポの曲を入れるようレコード会社に言われ。再度創り直している時にジョンレノンの訃報が入り、急遽リンゴ・スターに提供予定にしていた楽曲の歌詞をレノンに捧げるものへと書き替えポールとリンダもコーラスで参加したAll Those Years Agoはビートルズ再結成が絶望的となったが、残されたメンバーで再度一緒に曲を創った事により、大ヒットとなりました。
1. Blood From A Clone 2. Unconsciousness Rules 3. Life Itself 4. All Those Years Ago 5. Baltimore Oriole 6. Teardrops 7. That Which I Have Lost 8. Writing's On The Wall 9. Hong Kong Blues 10. Save The World 11. Save The World-Demo Version
しかし、レコード会社からのNGにより、アメリカ的な曲もあります。Blood From A Cloneはレゲエですし、内容がまとまっていない内容になってしまっているのが残念です。Baltimore Oriole とHong Kong Bluesはカバー曲ですし、レコード会社がいらない注文をした事によって、後々売れなかった前作の方が評価が上がりましたが、このアルバムは少々散漫な感じになっています。
1. Love Comes To Everyone 2. Not Guilty 3. Here Comes The Moon 4. Soft Hearted Hana 5. Blow Away 6. Faster 7. Dark Sweet Lady 8. Your Love Is Forever 9. Soft Touch 10. If You Believe 11. Here Comes The Moon (Demo Version) (Bonus track)
1. Woman Don't You Cry For Me 2. Dear One 3. Beautiful Girl 4. This Song 5. See Yourself 6. It's What You Value 7. True Love 8. Pure Smokey 9. Crackerbox Palace 10. Learning How To Love You 11. Tears Of The World
シングルカットされたThis Songは盗作問題となったマイ・スウィート・ロードは自分の曲だと主張しています。PVでも裁判の模様をパロディ化しています。裁判では負けましたが、相当悔しかったのだと思います。ポップソングを書いていれば、どこかで聴いた事があるようなフレーズを選択する事が多々あります。それが何小節か類似していると盗作となるのです。アルバムタイトルはアナログレコードの回転数の事ですが、このときのジョージの年齢、33歳という事にもなっています。カバー曲も珍しくあり、True Love はCole Porterのカバーになっています。私が一番気に入っているのはCrackerbox Palaceです。
1. You 2. The Answer's At The End 3. This Guitar (Can't Keep From Crying) 4. Ooh Baby (You Know That I Love You) 5. World Of Stone 6. A Bit More Of You 7. Can't Stop Thinking About You 8. Tired Of Midnight Blue 9. Grey Cloudy Lies 10. His Name Is Legs (Ladies And Gentlemen)
1. Hari's On Tour (Express) 2. Simply Shady 3. So Sad 4. Bye Bye, Love 5. Maya Love 6. Ding Dong, Ding Dong 7. Dark Horse 8. Far East Man 9. It Is 'He' (Jai Sri Krishna)
1. Give Me Love (Give Me Peace On Earth) 2. Sue Me, Sue You Blues 3. The Light That Has Lighted The World 4. Don't Let Me Wait Too Long 5. Who Can See it 6. Living In The Material World 7. The Lord Loves The One (That Loves The Lord) 8. Be Here Now 9. Try Some Buy Some 10. The Day The Word Gets 'round 11. That Is All 12. Deep Blue (bonus track) 13. Miss O'Dell (bonus track)
シングルヒットとなったのはGive Me Loveです。ラブソングのように思われがちですが、これはいつもの宗教的な曲であり、愛と言っても恋愛ではなく、人類愛になっています。しかし、英語がわからない日本ではラブソングに聴こえるのです。当時のジョージの得意技はストラトキャスターにフェイザーをかけたり、フロントピックアップを使った柔らかい音を、スライドギターでギターソロ弾く事です。このアルバムでも沢山入っています。
ディスク:1 1. Introduction 2. Bangla Dhun 3. Wah-Wah 4. My Sweet Lord 5. Awaiting On You All 6. That's The Way God Planned It 7. It Don't Come Easy 8. Beware Of Darkness 9. While My Guitar Gently Weeps ディスク:2 1. Medley: Jumpin' Jack Flash/Youngblood 2. Here Comes The Sun 3. A Hard Rain's Gonna Fall 4. It Takes A Lot To Laugh, It Takes a Train To Cry 5. Blowin' In the Wind 6. Mr. Tambourine Man 7. Just Like A Woman 8. Something 9. Bangla Desh
ディスク:1 1. I'd Have You Anytime 2. My Sweet Lord 3. Wah-Wah 4. Isn't It A Pity 5. What Is Life 6. If Not for You 7. Behind That Locked Door 8. Let It Down 9. Run Of The Mill 10. I Live For You (Bonus Track) 11. Beware Of Darkness (Bonus Track) 12. Let It Down (Bonus Track) 13. What Is Life (Bonus Track) 14. My Sweet Lord (2000) (Bonus Track) ディスク:2 1. Beware of Darkness 2. Apple Scruffs 3. Ballad Of Sir Frankie Crisp (Let It Roll) 4. Awaiting On You All 5. All Things Must Pass 6. I Dig Love 7. Art Of Dying 8. Isn't It A Pity (Version Two) 9. Hear Me Lord 10. It's Johnny's Birthday 11. Plug Me In 12. I Remember Jeep 13. Thanks For The Pepperoni 14. Out Of The Blue
ポップアルバムということで、My Sweet LordとWhat Is Lifeがシングルで大ヒットとなります。特にMy Sweet Lordはメンバーのソロの中では最初にNo1を取った曲でしたが、後にChiffonsのHe's So Fineと酷似していた為に、盗作問題となり、裁判でジョージは負けています。しかし、この曲はまぎれもなく、ビートルズ解散後にファンを喜ばせてくれた名曲に他なりません。
1. Microbes 2. Red Lady Too 3. Tabla And Pakavaj 4. In The Park 5. Drilling A Home 6. Guru Vandana 7. Greasy Legs 8. Ski-ing 9. Gat Kirwani 10. Dream Scene 11. Party Seacombe 12. Love Scene 13. Crying 14. Cowboy Music 15. Fantasy Sequins 16. On The Bed 17. Glass Box 18. Wonderwall To Be Here 19. Singing Om
優等生的なアイドルとして、アメリカでは大人気でした。砂に書いたラブレターや四月の恋などのヒット曲を持っていますが、1997年にはIn a Metal Moodというヘヴィメタのカバーアルバムを出しています。リッチー・ブラックモアやロニー・ジェイムス・ディオ等がゲスト参加しています。彼のイメージとはあまりにも違うのでひんしゅくものとなりますが、ビッグバンドにアレンジしたヘヴィメタは結構斬新です。
ヒット曲はVacation、Pretty Little Baby、Lollipop Lipsなど、ロックンロール以降のアメリカンポップスのイメージそのものを体現しているシンガーであります。本来はイタリア系のグラマラスで妖艶な女性なのですが、そのポップ感覚からキュートなイメージの方が強まっています。ポニーテイルにロングスカートという当時のロックンロール世代のファッションイメージは、後の日本の革ジャンにリーゼントという男性ロックンローラーのイメージと同様に女性ロックンローラーのイメージとなります。
Dianaや後のフレンチポップにもつながるマイナー調のYou are my destiny、アメリカンポップスとしての完成度の高いPut Your Head On My Shoulderなど、数々の名曲を創りだしました。彼はレバノン系の移民の子で、白人とは言いにくいのですが、曲がヒットする事により、まだ珍しいシンガーソングライターという位置を確立していきました。My Waymお彼が用意した曲で、引退すると噂されていたフランク・シナトラの為に提供した曲です。元ネタはシャンソンのようです。
年をとっても現役で、現在も活躍しています。Kissin' On The Phoneなど、アメリカンポップに、若い感覚を与えた功績は高いものです。映画音楽の史上最大の作戦 -The longest dayなどでは、その作曲能力の高さを示しています。本来ならフランクシナトラのようなスタイルになっていたのでしょうが、ロックンロールの与えた影響力は、彼の数々の名曲達に息づいています。