2005年の作品で、前作からは6年の時間が過ぎています。それだけ音沙汰がないと、普通は忘れ去られるものですが、Nine Inch Nailsは作品を出せば一気に話題をさらっていきます。今回のプロデュースもTrent ReznorとAlan Moulderで、オルタナ部分を強調したような作品で、打ち込みも多用していますが、それを感じさせないくらいバンドサウンドを創り上げています。レッチリなどがなぞっているスタイルを本家としてやっているだけに、これまで以上に売れています。
1. All The Love In The World 2. You Know What You Are? 3. Collector 4. Hand That Feeds 5. Love Is Not Enough 6. Every Day Is Exactly The Same 7. With Teeth 8. Only 9. Getting Smaller 10. Sunspots 11. Line Begins To Blur 12. Beside You In Time 13. Right Where It Belongs
The Hand That Feeds、Only、Every Day Is Exactly the Sameとシングルヒットも生み出し、アルバムとしても売れました。グランジ的なギターサウンドは彼らの影響で広まっていきましたので、それが売れているのであれば、こちらも稼がせていただこうということでしょうが、それでも、さすがに貫禄が違います。リフの作り方や、シーケンスとの絡みなど、見事なものです。アンビエントな部分もしっかり出していますが、いつもよりバンドスタイルの方が多めです。
99年の作品で、CD2枚組の大作です。プロデューサーはTrent ReznorとAlan Moulderで、Nine Inch Nailsの全てが詰まっていると言っても過言ではありません。とことんインダストリアルで、とことんメリックで、とことんアンビエントで、2枚組にしないと収まらないくらいの曲が出来上がっていたのでしょう。無理矢理2枚組にしている訳ではないので、一気に全体を聴き通しても疲れないと言うか、最後にはアシッドなくらいにハイになって逝きまくった状態で恍惚としてしまいます。最高傑作と言っても良いでしょう。
ディスク:1 1. Somewhat Damaged 2. The Day The World Went Away 3. The Frail 4. The Wretched 5. We're In This Together 6. The Fragile 7. Just Like You Imagined 8. Even Deeper 9. Pilgrimage 10. No, You Don't 11. La Mer 12. The Great Below ディスク:2 1. The Way Out Is Through 2. Into The Void 3. Where Is Everybody? 4. The Mark Has Been Made 5. Please 6. Starfuckers, Inc. 7. Complication 8. I'm Looking Forward To Joining You, Finally 9. The Big Come Down 10. Underneath It All 11. Ripe (With Decay)
現代音楽的なアンビエントでプログレッシヴな曲もいつも以上にあるので、Nine Inch Nailsらしくないように思う人もいるかもしれませんが、それも含めてNine Inch Nailsであり、アグレッシヴなだけではない懐の深い作品になっています。参加ミュージシャンもいつもより沢山います。シングルとしてはThe Day the World Went Away、We're in This Together、Into the Void、Starfuckers, Inc.がカットされていて、後輩のマリリンマンソンが成功している最中、先輩としての威厳を示した作品でもあります。
後継が沢山出てきて、インダストリアルとしても認知度が高まってきている中、Nine Inch Nailsにしか出来ない世界観を打ち出して、他を圧倒する内容になっています。グランジの方程式でもある、動と静の対比など、しっかり考えられて創られています。なので、全部を通して聴いても苦痛ではないのです。激しくも、どこか癒しもありながらダウナーでもあるという、人間の業のが渦巻くような世界は、受け付けない人もいるかもしれませんが、決して敷居が高い音楽ではありません。どっぷりハマる勇気があるかないかだと思います。20世紀最後の名盤です。