A Little BookerはBooker Little に捧げられた曲であり、Bird SaysはCharlie Parkerに捧げられた曲になっています。A Little Bookerではトランペットが主役であり、Bird Saysではサックスが主役になっていますが、一番注目してしまうのは、弦楽器の存在でしょう。これまでのジャズではウッドベースを弓で弾いたりする事はありましたが、バイオリンやヴィオラ、チェロによるアレンジは珍しく、それで居てビバップしているところがカッコいいです。
しかし、80年代にこの内容で売れる事は難しく、フリージャズ的なIn the Lightも既に古いスタイルであって、一部のファンにのみ支持されています。ドラムのチューニングも、あくまでもモダンジャズに適したものであり、Max Roachがゲートリバーブを使うなんて考えられない事であります。Max Roachは己の道をただ進むのでありました。
1. Reflections 2. Mwalimu 3. A Place Of Truth 4. China's Waltz 5. Mail Order 6. Japanese Dream 7. Magic 8. Back To Basics 9. Ode From Black Picture Show
79年の作品で、今回はAnthony BraxtonとのデュオでスイスのWillisau Jazz Festivalでのライブ音源になります。このフェスティバルではArchie Sheppとのデュオでも演奏していますが、Anthony Braxtonともやっているのですね。Anthony Braxtonはサックス全般とクラリネット、フルートを吹き分けています。Max Roachはドラムセットの他にパーカッション、gongsやtuned cymbalsも演奏しています。
1. One in Two Two in One, Pt. 1 2. One in Two Two in One, Pt. 2
Max Roachの歌うようなドラミングとAnthony Braxtonのフリージャズな演奏で、アルバムBirth & Rebirthのライブ盤みたいになっています。勿論ライブの方が白熱しているので、作品として形にする事になったと思います。演奏曲は1曲のみですが、その中には彼らのすべてが詰まっていると言ってもいいでしょう。70分以上の熱演です。
Disc: 1 1. J.C. Moses 2. Sophisticated Lady 3. The Long March 4. U-Jaa-Maa Disc: 2 1. Triptych 2. Giant Steps 3. South Africa Goddamn 4. It's Time
Duke EllingtonのSophisticated LadyやJohn ColtraneのGiant Stepsをカバーしています。オリジナル曲ではMax Roachが創りだすリズムが中心で、そのリズムの上をArchie Sheppが自由に歌いまくる感じです。自由と言っても、ここではフリージャズまでにはいっておらず、ある程度の構築性が感じられます。ライブですから、インプロヴィゼーションによるところも多いと思いますが、おる程度、あらかじめ決めごとはあるようです。
Max Roachの生み出すドラムパターンも独創的で、ジャズというよりは、民族音楽のような、原始的ではあるけれども、かなり複雑に構成されていて、ドラマーならではの進化の仕方をしています。二人だけの演奏なのに、とても哲学的なものを感じさせます。マイルスにつきあう事なく、独自の感性でジャズを進化させている、数少ないミュージシャンだと思います。
64年の作品で、Hasaan Ibn Aliのピアノを中心として、ベースのArt Davisとのトリオ編成でレコーディングされた作品です。Hasaanの演奏スタイルはセロニアスモンクのようなどこかひょうきんなユーモアのあるプレイで、独自の音楽生に溢れています。これまでの黒っぽい作品群とは異なる異色の作品と言えるでしょう。それでも、この感覚も黒人特有のものだと思います。
1. Three-Four Vs. Six-Eight Four-Four Ways 2. Off My Back Jack 3. Hope So Elmo 4. Almost Like Me 5. Din-Ka Street 6. Pay Not, Play Not 7. To Inscribe
自由奔放なHasaanのピアノプレイに、しっかりとした鉄壁のリズムを支える Max RoachとArt Davisとの対比がいい味を出しています。Hasaanの演奏だけだと、かなりアバウトなリズム感であり、まるで子供がピアノで遊んでいるような、そんな演奏スタイルは、狂気と呼ぶには親しみ易いフレージングになっていて、そこがこの人の魅力なのでしょう。そのはみ出しぶりを見事にまとめているリズムセクションが見事です。
1. Milestones 2. Sweet And Lonely 3. Rounder's Mood 4. Dungeon Waltz 5. Jewel's Tempo 6. Moonlight Becomes You 7. Things Ain't What They Used To Be 8. Blue 'N Boogie
Tommy Flanaganのピアノが加わった事により、ムーディーなMoonlight Becomes Youのような曲もあり、そこでのBooker Littleのロマンティックなトランペットプレイも聴きものです。Booker Littleは23歳の若さで他界しているので、数少ないリーダー作品の一つです。マイルスのMilestonesをカバーしていますが、マイルスのペットの音とは明らかに違う音色に注目です。どちらかと言えばClifford Brownに近いプレイヤーです。
Max Roachはドラム以外にもtimpaniやvibraphoneも演奏しています。ドラミングはロールなどの手数が多いのですが、他のプレイヤーの邪魔にならないところで出してくるので、そういうところが好まれて、彼は重宝されるドラマーとして活躍してきたのだと思います。タイム感がいいので、それに合わせて演奏する方は気持ちよく演奏に集中出来るのです。エルヴィンほど荒削りではなく、スマートに自己表現出来るドラマーです。
1. You Stepped Out Of A Dream 2. Filide 3. It's You Or No One 4. Jodie's Cha-Cha 5. Deeds, Not Words 6. Larry-Larue 7. Conversation 8. There Will Never Be Another You
1. Blues Waltz 2. Valse Hot 3. I'll Take Romance 4. Little Folks 5. Lover [Stereo Version] 6. Lover [Mono Version] 7. The Most Beautiful Girl in the World
1. Green Chimneys 2. A Lullaby Of Itsugo Village 3. It Don't Mean A Thing If It Ain't Got That Swing 4. Lush Life 5. Zenzo's Spirit 6. A Flower Is A Lovesome Thing/Ask Me Now 7. Bopsy 8. Fatima's Waltz 9. A Change Is Gonna Come
三管体制でのビバップという、かなり古めかしい雰囲気の作品で、渋い感じになっています。この辺りになると、流石のエルヴィンも余生に入った感じで、残りわずかな人生をジャズに捧げているような感じもします。Thelonious MonkのGreen Chimneys、Duke EllingtonのIf It Ain't Got That Swing、そしてSam CookeのA Change Is Gonna Comeなど、有名な曲を演奏する事によって、ファンを楽しませるような雰囲気になっています。
リズム&ブルースのA Change Is Gonna Comeを演奏すると言う事は、ハードバップの定義である、黒人音楽の復権に近いポリシーを感じますし、ジャズ以外の音楽を取り入れるなら、もう少し融合感が欲しいところですが、はっきりとリズム&ブルースとして演奏しています。この辺が、もう若さがない証拠でしょうか。音楽家としては、もう少し冒険して欲しいところですが、そこまで求めてはいけないのでしょう。レトロジャズな感じが強いですが、モダンジャズファンには楽しめるアルバムだと思います。
92年の作品で、久々のメジャーレーベルとなるColumbiaからリリースされたElvin Jones Special Quartetによるライブアルバムです。メンバーはモダンジャズ復興の首謀者Wynton Marsalisのトランペット、ピアノのMarcus Roberts、ベースのReginald Vealでス。コルトレーンの名曲至上の愛をカバーしており、コルトレーンのサックスの部分をMarsalisがトランペットで吹いています。ですから、全く別もののような雰囲気になっています。
1. A Love Supreme: Pt. 1 Acknowledgement/Pt. 2 Resolution/Pt. 3 Persuance 2. Dear Lord 3. Happy Birthday for "Yuka" 4. Blues to Veen
1. Not Yet 2. Have You Seen Elveen? 3. Angel Eyes 4. Ding-A-Ling-A-Ling 5. Lady Luck 6. The Biscuit Man 7. Body And Soul 8. Strange 9. My Romance 10. Youngblood
ジャズのアルバムは一発録りであり、いくつかテイクを録音するのですが、ライブと同じ条件で録音します。しかし、観客がいるのといないのとでは演奏の白熱度が違ってきますので、ジャズの醍醐味はライブであり、メンバーどうしのコールアンドレスポンスに加えて、観客とのコールアンドレスポンスもありますので、スタジオ盤以上に盛り上がります。特にDoll of the Brideは32分以上もの熱演になっています。
Ravi Coltraneの親子二代に渡る演奏はエルヴィンにとっては感慨深いものでしょう。エルヴィンが紡ぎだすポリリズムはハードバップの極みであり、まだまだ衰えないパワフルな演奏になっています。ドイツでのジャズフェスティヴァルでの演奏であり、ヨーロッパでも、まだまだジャズの人気は高いのでした。ハウスミュージックが流行っていた時期に、このアナログなポリリズムは逆に新鮮です。
1. Beautiful Love 2. I Was Too Young 3. You Don't Know What Love Is 4. My Dream Come True, To E. J. 5. Dream Gypsy 6. When I Was At Aso-Mountain 7. Soultrane 8. Stella by Star Light