

94年のアルバムで、世界的に彼らの名前が広く伝わるようになった作品で、演奏が巧くなった訳ではありませんが、彼らのやりたい事がしっかりと伝わってきて、その格好良さが認められるようになり始めます。失われていたロックの初期衝動を思い起こさせるそのパワフルなダイナミズムは、ヘタな小細工をほど楠よりも赤裸々に伝わってきます。へたくそでも胸を張っている彼らこそロックキッズなのです。ジャケットにはテルミンの絵が描かれていますが、テルミンのトリッキーなサウンドも楽しめます。
1. Bellbottoms
2. Ditch
3. Dang
4. Very Rare
5. Sweat
6. Cowboy
7. Orange
8. Brenda
9. Dissect
10. Blues X Man
11. Full Grown
12. Flavor
13. Greyhound
ブルースと言ってもスロー
ブルースばかりではなく、ゲイリームーアの作品のようにジャンプアップな曲もある訳で、彼らのやる
ブルースは正にそんなヒップな
ブルースなのです。彼らに比べたらオルタナバンドなんて優等生過ぎるし、ストーンズでもここまで激しくなかったし、パンクバンドでもここまでハチャメチャじゃなかったし、本当のパンクスと呼べるのはこのバンドだけではないかと思います。イメージとしてある暴れん坊なパンクロッカーそのもののバンドであり、それが
ブルースをやっていると言う渋いのにカッチョイイ、こんなバンドは他にはありません。
多少
音楽的な工夫もありますが、そんな細かい事は吹き飛ばすくらいの勢いがあります。サックスも入っていますが、フリージャズみたいなプレイで、それが曲に合っていると言うのも凄いです。80年代のポップグループの
ブルース版みたいです。普通ブルースバンドというと、ギターソロが得意なギタリストがいるものですが、そういうのが全くない潔さがあります。本当に人気が出てくるのは、この後に出たOrange + Experimental Remixesで、当時流行のリミックス作品であり、ハウス的な処理と彼らの
音楽の組み合わせが意外にもクールだったので、高い評価を得ていきます。それでもオリジナル作品のこのアルバムの爆発力の方が魅力的です。名盤です。
Bellbottoms