88年の作品です。80年代ポップとは違った派手な装飾を排したサウンド、オルタナと呼ぶにはカラフルなサウンド、これこそがパワーポップであり、ブリットポップでもあります。後のパワーポップブームでの無理矢理歪ませたサウンドでも無く、まだパンクスピリッツやニューウェイヴの感覚を残しているのがコープの特長かと思います。そして躊躇無くポップである。それは当時としては異色な事でしたが、今聴くと80年代ポップとは違って現在でも通用するサウンドになっています。
1. 5 O'Clock World
2. Vegetation
3. Charlotte Anne
4. My Nation Underground
5. China Doll
6. Someone Like Me
7. Easter Everywhere
8. I'm Not Losing Sleep
9. The Great White Hoax
今作はソリッドな曲が多く、ニューウェイヴの感覚が多く残っていますが、ニューウェイヴと違うのは、簡略させすぎないで、必要な音はしっかり出して、ポップである事を恥ずかしがらないという姿勢であり、こういう事はパンクスにとっては踏み絵を踏むようなものであり、コープはためらいも無く踏みまくっているという潔さがあります。
ポップと言っても媚を売ってポップにするのであれば、当時の流行の音にしていたであるはずで、あくまでも自分のやりたい事をやった結果でのポップさなので、へつらっている感じはありません。だからさほど売れなかったと言うのもありますが、だからこそ今でも通用するサウンドになっていると思います。時代の音に合わせすぎると風化し易いものになってしまいます。時代の音にこだわっていなかった事が時間が経つと正解だった事がよく分かります。80年代の幻想に惑わされなかった貴重なミュージシャンです。
5 O'Clock World