89年の作品です。プリンスのPaisley Parkレーベルからのリリースになっていて、P-FUNKとしても新しい局面を迎えようとしています。曲自体はいつものように作曲されていると思いますが、アレンジが完全に80年代サウンドを応用したものになっていて、P-FUNKと呼ぶには違和感があります。打ち込み主体のリズムなので、リズムがほぼジャストになっていて、P-FUNK特有のルーズなグルーヴは打ち消されています。
1. Airbound
2. Tweakin'
3. The Cinderella Theory
4. Why Should I Dog U Out?
5. Serious Slammin'
6. There I Go Again
7. (She Got It) Goin' On
8. The Banana Boat Song
9. French Kiss
10. Rita Bewitched
11. Kredit Kard
12. Airbound (Reprise)
音色もサンプリング音源を多用して、80年代特有のゲートリバーヴで残響音を無理矢理カットした、スタッカートぎみのリズムになっています。当時のサウンドに適応したサウンドとして注目はされましたが、P-FUNKらしさが失われたとされて、ファンには不評だったようで、話題の割には売れていません。ブーチーもこの時代のサウンドを応用した名作を創っていますが、この作品はそこまでの破壊力はありません。
打ち込み、シーケンスが多いのが破壊力の無さになっていますが、80年代の作品としては悪い内容ではありません。それだけ徹底した創りになっていますし、当時の作品としては斬新な方です。ハウスミュージックも生まれ始めていた頃で、そこにつながる流れにもなっています。P-FUNKの活性化と言う事では、かなり健闘していると思います。ただファンが求めているものではなく、混じり具合が中途半端かもしれません。もう少し爆発力があればあれば良かったかもしれません。
Airbound