

2003年のアルバムです。久しぶりにソロアルバムらしい内容のアルバムになっています。ここでのバックメンバーはキーボードがRoger King、ベースがTerry Gregory 、ドラムがGary O'Toole、フルートのJohn Hackett、サックスのIan McDonald 、木管のRob Townsendなどです。全体的な印象としては初期の頃のジェネシスは
プログレでありながらブリットポップな雰囲気を持った曲調がありました。それを最新のテクノロジーで進化させたような現在進行形の
プログレになっています。
1. Strutton Ground
2. Circus of Becoming
3. The Devil Is An Englishman
4. Frozen Statues
5. Mechanical Bride
6. Wind, Sand and Stars
7. Brand New
8. This World
9. Rebecca
10. The Silk Road
11. Pollution B
12. Fire Island
13. Marijuana, Assassin Of Youth
14. Come Away
15. The Moon Under Water
16. Serpentine Song
17. If You Only Knew
まずSteve Hackettのボーカルが上達したと感じます。巧い訳ではありませんが、味わいが出せるようになっています。それだけで曲の完成度が増します。それに加えて繊細に構成されたアレンジの妙が素晴らしい。ギターのミュートカッティングのリバースリバーブ成分だけを使ってリズムを構成させたり、シンセもデジタルでありながらアナログ感を出せるように進化していますので、その恩恵は計り知れません。歌もピーターガブリエルに歌わせる事を念頭に置いたジェネシス時代のように作曲されています。
しかし歌のイメージはどちらかと言うとピンクフロイド的であり、そこでオリジナリティーが生まれます。ジャズの要素やアンビエントな感じもテクノを経過してきたからこその手法になっていますので、昔のジェネシスを彷彿とさせるのではなく、あの頃の良さを持ったまま21世紀に進化させた、懐古主義ではなく、現在進行形の挑戦的なものになっています。これだけの作品をつけつけられるとFeedback 86がいかにクソのような作品だったかが分かります。全てに行き届いた工夫が見事な素晴らしい名盤です。
Strutton Ground