2010年のアルバムです。活動再開してからは初めてのフルアルバムになります。ここから本格的な始動であり、以前からは明らかに進化した姿を現しています。エレクトロの部分が全面に出ていますが、以前のようにアナログ楽器をサンプリングした手法が骨格となっています。それにも増して女性ボーカルのフレーズサンプリングの切り貼り、まるでビッグビートのような雰囲気になりますので、以前よりもポップに聴こえます。
1. Angel Echoes
2. Love Cry
3. Circling
4. Pablo's Heart
5. Sing
6. The Unfolds
7. Reversing
8. Plastic People
9. She Just Likes To Fight
ドラムのブレークビーツもKieran Hebdenとのセッションからの触発を感じさせるものがあり、90年代のブレイクビーツとは明らかに違う次元にいます。フレーズサンプリングをわざと切り貼りしたした、違和感のある感じにする事でひっかかりのある印象を与えます。滑らかなサンプリング編集にする事も可能なはずですが、あえて、それをせずに、いかにもサンプリング音源である事を強調する事で既存の
音楽との差異を強調しています。
ある意味、これもフォークトロニカだと思いますが、フォークという印象はありません。彼にとってはサンプリング音源もエレクトロ音源と同じ扱いであり、面白ければ何でも使う。それが信条なのではないでしょうか。エレクトロテクノロジーは無限の可能性を秘めていますので、いろんな形に現れる事が可能だと思いますが、一番重要な事は作り手のアイデアであり、アイデアが枯渇してる現在の
音楽シーンに、少なからずも存在する、その可能性を追求している才能溢れるミュージシャンだと思います。名盤です。
Angel Echoes