2010年のアルバムです。ほぼ自宅で録音されており、アコースティックアンビエントな雰囲気の中で祈りを上げるような歌になっています。祈祷のようでありますが、朗読ではなく歌になっています。サイケというか、インド
音楽のようにアコースティックギターを演奏しています。インド
音楽もきっちりした決まり事がありますが、モード奏法であり、60年代後半のサイケもモード奏法によるアドリブ合戦になっていました。
1. Badlands
2. My Time
3. The Alps
4. Passing Over
5. The Sun
6. Lakes And Losses
モード奏法はスケールの中の音階なら何を鳴らしもいいのでコード感が曖昧になり、浮遊感が生まれます。それが当時のドラッグカルチャー的な表現にシンクロしていました。浮遊したまま着地点が無いのも特徴といえるでしょう。何となく始まって、何となく終わる。この作品はまさにそういう感じで空気的な
音楽だと言えます。詩人ならではの発想です。
物語に起承転結を求めるのは人間の思考回路を満足させるだけで、宇宙の理には始まりもなければ終わりも無いのです。何を持って始まりとするか、何を持って終わりとするかをはっきりさせたいのは人だけなのです。そうした宇宙の営みを表現するにはインド
音楽は適したものだと思います。完全にインド
音楽ではありません。あくまでも雰囲気だけです。しかし、このコード感の無さ、拍子感の無さ、起承転結の無さは、人の思考では推し量れない理を感じさせます。
trappeur