日本人女性西山豊乃の本人名義による99年に残された唯一のフルアルバムです。後に一人プロジェクトGutevolkを名乗る事になるのですが、この時点でも類まれな才能を発揮しています。フランス語や日本語で歌っていて、シャンソン、ボサノヴァ、ジャズなどをアンニュイにエレクトロポップに仕上げています。
1. 六月の散歩
2. L'Été
3. イロノプリズム
4. Je, Peux, Te, Voir
5. ひまわり
6. ユレテル・ウカンデル
7. Foot Fall #1
8. ヨル・トリ・カゼ
9. なしのかたちの曲
10. ホシノオト
11. ソファミ
12. Foot Fall の主題による変奏曲
13. よるのうた
一人打ち込みによるアレンジにしても、相当の知識とセンスが無ければ、これだけのものは作れません。90年代後半からサンプリングミュージックに疲れていたアーティストが電子音によるエレクトロニカを作る事が多くなっていて、それは日本のインディーズにも影響を与えていました。当時の日本のインディーズには独特のアンニュイな雰囲気があり、それにエレクトロニカな感覚が新たな可能性を与えています。
生演奏、生楽器の使用など、完全にエレクトロニカにはなっておらず、ほのぼのとした柔らかなサウンドでありながら、ジャズのインプロビゼーションな感覚のアレンジなど、一癖も二癖もある素晴らしい内容になっています。それをシンプルにポップにまとめる才能は日本人離れしています。日本のインディーズのみに埋れさせるわけにはいかない才女です。
L'Été