2005年のアルバムです。前作では音源の拡張的なエディットに注目していましたが、そこを更に拡大させたような作風になっています。一つ一つの音源そのものがアンビエント作品になっていて、それをブレイクビーツのように組み合わせ、ダブのようにミックスさせた作風になっています。音源そのものがアンビエントな響きを持っているので、アンビエントな印象を受けますが、ブレイクビーツのような動きとリズムを作り出しています。
1. Overtone
2. G.T.
3. Tape Swamp
4. Plus3dub
5. Ak.Maj
6. Vintertog
7. Teddy114
8. Vuggelise
一つ一つの音を音源として読み取っていた私にとっても新しいスタイルだと感じさせましたが、それを音源ですら無いのだと言う概念を突きつけてきました。これもこれまでに無い新しいスタイルであります。音源だと思っている一つ一つの音が音源というより、独自に独立したトラックであり、その短いトラックをループさせたり、変化させたパターンを組み合わせて曲としてまとめ上げているのです。現代
音楽もここに極められたと思います。
実験としての現代
音楽はもはや終わりを告げ、全く新しい
音楽の制作方法を生み出すに至ったのであります。この偉業を敏感に受け止められている人がどれだけいるのでしょうか、これを単なるサンプリングミュージックだと思っているだけなのなら、その人に
音楽を語る資格はありません。いびつであるように感じられながらも見事に調和したこの作風は前代未聞であり、新たな
音楽スタイルが誕生したのだと世の中に示さなければならないのが
音楽評論家の義務だと思いますが、誰も指摘していません。この人の音楽をもっと評価させるには多くのフォロワーを生み出す必要があるようです。いつの世も全く新しいものが生まれてもちゃんと受け止めきれないものなのですね。
Overtone