2008年のアルバムです。まだ2008年なのにこの完成度。自分のスタイルを推し進めながらもロック的なエレクトロニカを完成させています。サンプリングによるプログラミングという点では他のアーティストと変わりは無いかもしれません。それによりロック的な表現をするという点においてもさほど驚く事ではありません。しかし、音源を点では無く、線として描く事で全く新しい表現が完成されています。
1. Transit
2. Mobile
3. Refleksion
4. Beito
5. Rehux
6. Analog
7. Kocmoc
8. Dynamo
プログラミングという性質上、音源は点と成らざるを終えません。これにDJ的なエディットを加えるとクラブミックスのようになります。そういう点でも珍しい事では無いでしょう。しかし、これだけ同時に音源の一つ一つが違う動きをしながら調和するというスタイルは存在しません。最近ではウェーブテーブルソフトシンセが流行っていますが、2008当時にここまで任意に動かせるウェーブテーブルシンセは無かったと思いますし、現在のものでもここまでプログラミングさせるのはかなり時間がかかります。
つまりプログラミングの発想が違うのです。自動で流れていくプログラミング任せになるまで作り上げるという発想では無いのではないでしょうか、楽器を演奏するようにデジタル素材を活かしていく、しかし、複雑にループするようにプログラミングされている。エディットの鬼になりきればものすごく長い時間をかけてこれだけのものは作れるでしょう。しかし、そこまで時間をかけていたらこのリリース状況は説明出来ません。もっと簡易にやってのけているのです。生演奏、プログラミングという固定観念に囚われず、彫刻を掘っていくように
音楽が作られています。
Transit