1. Sympathy For The Devil 2. No Expectations 3. Dear Doctor 4. Parachute Woman 5. Jig-Saw Puzzle 6. Street Fighting Man 7. Prodigal Son 8. Stray Cat Blues 9. Factory Girl 10. Salt Of The Earth
便所の落書きジャケットは当時レコード会社により取りやめられ別のジャケットになっていましたが、最近はご覧のように本来のジャケットに戻されています。そして何と言っても問題作はSympathy For The Devilです。自身を悪魔と名乗りキリストの処刑やケネディー暗殺も私がやったと告発する人間の悪魔性を歌っています。この曲の録音風景はゴダールの映画ワンプラスワンで撮影されています。ヌーベルバーグの手法で創られたこの映画はミック自身も何を言いたいのか分からないと言っていますが、単に録音風景と主人公が外でデモに参加したりしている映画です。ヌーベルバーグを何か意味があると深読みしてしまうと訳が分からなくなってしまいます。それよりもジャズを聴くみたいに彼らは映画と言う楽器でアドリブを演奏しているのだと言う感覚で見た方が良いと思います。ヌーベルバーグも理解するより感じる方が分かり易いと言うのが私の意見です。
映画ではSympathy For The Devilは最初はボサノヴァ的な曲として録音が始まります。途中でパーカッションを入れるようになってきてからミックのテンションが上がり始めどんどん激しい曲になっていく過程が見れます。そしてこの曲をきっかけに今後もストーンズが得意とする同じコード進行でも徐々にテンポを上げていき独自のグルーヴを生み出していくやり方が確立されます。カットアップ的に入るキースのファズギターが又格好いいです。
このグルーヴを活かした曲は他にもJig-Saw Puzzleや労働階級の為の曲Salt Of The Earthにも活かされています。Salt Of The Earthの出だしはキースが歌っています。最後にはゴスペルコーラスの大盛り上がりになります。これらの曲でメロディーを崩しながら歌うミックの歌い方に注目して下さい。これはボブディランの影響からですが完全にミックの個性として確立されています。滅茶苦茶格好いいです。又ブルースですがParachute Womanと言うテーマなどストーンズらしい歌詞がイケてます。そして暴動を描いたStreet Fighting Manも彼らの代表曲となっています。
Prodigal Sonでは黒人の物真似で歌うミックが愉快です。麻薬所持で逮捕されていた彼らは永らく来日出来ない最後の大物だったのですが、ミックが初めてソロで来日してオープニングでSympathy For The Devil を歌った時には鳥肌が出るくらい格好良かったです。その後は何度かストーンズとして来日してくれています。レイドバックして水を得たストーンズの快進撃はこのアルバムから始まります。ビートルズには無かった風価格がにじみ出始めた名盤です。チャーリーワッツのドラミングもこのアルバムあたりから独特になっています。