バンドとして理想的なバンドとして成功したのは、2つしか知りません。LedZeppelinとジャコパストリアスとピーターアースキンが在籍していた頃のWeather Reportです。やはり、バンドメンバーの誰が欠けても成り立たないような、奇跡的なバンドはこの2つです。まずは、そのLedZeppelinについて語ります。
ヤードバーズが解散して、ギターのジミーペイジが新しいバンドのメンバーを探し出します。そこで目に止まったのが、ボーカルのロバートプラントです。その並外れた高音域でのシャウト唱法は、ハードロックの誕生に欠かせないものでした。ベースには、スタジオミュージシャンをやっていた頃に知り合った、ジョンポールジョーンズです。キーボードも担当します。この頃のイギリスでは、トラッドフォークブームとなっておりましたので、ジミーページは、フォークバンドを結成するか、第一期ジェフベックグループのようなハードなロックバンドを作るか迷っておりました。そこへ、ロバートプラントの紹介でドラムのジョンボーナムが加わります。そのヘビーなドラミングを目の当たりにして、ハードなロックバンドで行こうと決まります。
最初、ニューヤードバーズというバンド名でしたが、ザフーのキースムーンより、飛行船からとったLedZeppelinへと改名して、ファーストアルバムを発表します。今までに無い、ヘビーでハードな曲で一気に人気が上がります。ハードロックの誕生です。セカンドアルバムは、ハードロックの教則本とさえ言われておりますが、かなりブルースを感じさせるものです。サードアルバムでは、やりたかったトラッドフォークを導入して、賛否両論を巻き起こします。私は、最初にこのアルバムを買いました。続く4枚目では、天国への階段という曲で、ハードロックとトラッドフォークの融合で完成度の高い曲を提示しましたので、やっとやりたかった事を理解してもらえるようになります。このアルバムあたりから、ツェッペリンでしか出せないグルーブが完成されていきます。バンドのグルーブを固めるには、これほどの年月が必要なのです。それはそれは、イギリスの田舎のお百姓さんが、畑を耕すような訛ったリズムです。
続く、聖なる館では、レゲエやファンクも取り入れていき、いよいよプログレ的なバンドへと成長していきます。次は、2枚組Physical Graffittiでは、その訛具合がより完成されていきます。次のプレゼンスでは、バンドとしての完成形さえ見えてきます。しかし、次のインスルージアウトドアでは、オープニングのアラビア風のイントロこそカッコいいものの、どんどん違う方向へと行ってしまいます。そして、ロック界一の名ドラマー、ジョンボーナムの死によって、バンドは解散します。誰が欠けても成り立たなかったのです。最後に未発表曲を集めたアルバム、コーダでは、訛ったグルーブを又堪能出来ます。現在でも、このバンドを超えるバンドは出てきておりません。その事が、私に欲求不満をもたらし、新しい音楽を追求し、いつしか、ツェッペリン以上の音楽を作る事を夢見させているのです。
それでは、Weather Reportについて語ります。このバンドは、エレクトリックマイルスのバンドで活躍していた、ジョー・ザヴィヌルとウェインショーターが中心になって結成されたバンドです。
ジョー・ザヴィヌルはインアサイレントウェイと言う曲をマイルスに提供しており、それ以前にもキャノンボールアダレイにマーシーマーシーマーシーという曲を提供してヒットさせたりと、作曲家としても活躍します。モードジャズ以降のジャズメンは、作曲よりプレイに重きを置いており、作曲してヒットさせる人は稀でした。
初期のWeather Reportは、ヨーロッパが生んだ天才ベーシストのミロスラフ・ヴィトウスを軸に、マイルスから受け継いだエレクトリックで、ロックよりの実験的な音楽をクリエイトしておりました。そのリズムパターンはロックでもなく、ジャズでもない得体のしれないものでした。それが受け継がれているとしたら、きっとドラム&ベースの中にあるでしょう。私もこの頃の作品からは多大な影響を受けております。ベーシストが唯一無二の天才ジャコパストリアスに変わり、より洗練された音楽へと変貌していきます。そして、名盤ヘビーウェザーでは、バードランドというヒット曲を生み出します。これは、この時代に作られた音楽としては珍しく、スタンダードナンバーの仲間入りをするほど、いろんな人達に演奏されております。
そして、ドラムがピーターアースキンに変わって、黄金時代となります。このバンドは、いろいろメンバーチェンジをしていきますが、この黄金時代こそバンドとして、これ以上ない理想的なバンドとして存在するのです。誰一人として欠けては、その音楽は存在しないのです。Weather Reportのレコーディングの特徴としては、リハーサルの時からテープをまわし続けている事です。この時代はまだテープに録音しておりました。そのテープを使えば使うほど、コストが上がりますので,相当予算があったのでしょう。リハーサルでは、アドリブ的なセッションを繰り返し、それを聞き直して、このフレーズがいい、このリズムがいいと目星をつけて、それを発展させる形で曲を完成していったのです。このやり方は、とてもバンド的な作曲方法だと思います。私もバンドをやっていたら、そうします。今は一人で、アドリブから発展した作曲方法を使う事も多いです。現在はテープコストを気にしなくていいので、この作曲方法は有効だと思います。しかし、それなりに演奏力とセンスが必要ですが。
この後、ベースがビクターベイリーに、ドラムがオマー・ハキムに変わります。この頃もいい感じなのですが、黄金時代にはかないません。そして、Weather Report解散後、ジョー・ザヴィヌルはザヴィヌルシンジケートを作りますが、これが又素晴らしくカッコいいバンドなのです。日本ではCDがあまり手に入らず、私はライブ盤しか持っておりませんが、私の理想に近いバンドです。
とにかく、黄金時代のこのバンドは、ツェッペリン同様、絶対無二のバンドでした。すぐ追いつけるようなバンドではなく、目指すは高きに置いて、音楽活動するべき、とは矢野顕子の弁ですが、私も賛成です。
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