バンドスタイルにこだわっていた佐野元春でしたが、久々にデジタル環境での制作と言う事で、ヒップホップ感覚もありの、久々のポップアルバムになっています。ライブではThe Hobo King Bandと演奏する訳ですが、こうした作品を創った事により、ライブでもデジタルビートも導入するようになっていきます。デジタルビートだけではなく、バンドスタイルでのポップソングも創っています。勿論それらもパソコン上で創られているのです。
バンドと創り上げたサザンロックをやっていた反面、こうした作品も創りたいという思いはあったのでしょう。昔からのファンも楽しめる内容になっています。ただThe Hobo King Bandとやっていた作品に比べると、どうしても軽く見られがちになってしまうアルバムですが、佐野元春のこの頃の歌い方はニールヤングの影響なのか、ファルセット気味の妖しい中性的なグラマラスな存在感を持っています。グラマラスでサイケデリックといえば、ロックとしては最強の組み合わせであり、それこそが気持ちいい状態だと感覚で分かっている佐野元春はロックの申し子だと言わざるえません。