マディ・ウォーターズはシカゴブルースの父と呼ばれています。都会で洗練されてきたブルースに、デルタブルースのような泥臭さを蘇らせ、エレキギターを使ったブルースを定着させ、シカゴブルースの礎を築きました。Hoochie Coochie ManやGot my Mojo Workin'のような黒人特有のスラングを使った曲が多く、黒人っぽいブルースのイメージそのものの人です。ローリングストーンズは彼のローリングストーンと言う曲からバンド名をつけています。
Manish BoyはI'm a Manと言う曲名でもお馴染みで、ヤードバーズやストーンズ、ドクターフィールグッドがカバーしています。彼のバンドにはブルースハープをマイクで歪ませるというスタイルも定着させ、ベースのWillie Dixonは作曲者として多くの有名曲を作曲しています。ツェッペリンなどがやるブルースの作曲者として良く目にする名前です。マディ・ウォーターズは精力の塊のような人物で、その男臭さが売りです。
Electric Mudというアルバムではサイケデリックにも挑戦しており、ロックへの接近も行っています。ほとんどのロックミュージシャンへの影響があると言ってもいいです。それとボトルネック奏法も使います。これはウィスキーのボトルの頭の細い所を切り落として、それを指にはめてギターのネック上をスライドさせて演奏します。スライドギターとも言います。後に金属のスライドバーが出回りますが、瓶で出す音とは音が違うので、私も瓶を切り落としてボトルネックを拵えた事があります。勿論切り口は磨いて指が切れないようにしなければなりません。