イン・ベルリンというライブアルバムからウェインショーターがやっと参加してくる。そして最初のスタジオ録音がこの作品です。新人ばかり集めた此のバンドからは全員が此の後の
ジャズ界には無くてはならない巨匠まで成長して行く事になります。全員が他のバンドでプレイしていたのですが、マイルスが強引に引き抜いて結成しました。此のマイルス流はこの後も続きます。
ウェインショーターはコルトレーンやソニーロリンズとは違って、マイルスに近いリリカルなプレイが特徴です。作曲も出来るし、マイルスにとっては熱望していた人材です。此のアルバムではドラムのトニー以外のメンバーも作曲に加わっており、バンドとしてのサウンド創りが叶った作品となりました。
1. E.S.P.
2. Eighty-One
3. Little One
4. R.J.
5. Agitation
6. Iris
7. Mood
此のアルバムの発表当時はオーネットコールマンの提唱するフリー
ジャズが流行始めていた頃です。マイルスも自由な演奏を渇望していましたが、フリーには行きませんでした。クール
ジャズという経歴もある通りマイルスは理論に基づいたアンサンブルが好きなのです。ですから益々モード
ジャズを極めていきます。オーネットコールマンによれば、フリーも理論に基づいたものだそうですが、マイルスは我が道を行きます。
ジャケットは又しても奥方が映っており、充実したマイルスが反映しているようです。音楽的には非常にスリリングで繊細で正にカインドオブブルーのその先にある音楽といった趣です。マイルスのプレイもいつも以上に挑戦的です。
これまでのビバップ、ハードバップにはない臭いが充満しております。第一期黄金のクィンテッドではモード奏法があまり理解されていない部分がありました。しかし、此の第二期黄金のクィンテッドでは若い分、新しい理論の吸収も早く、マイルスの求める音を出しているようです。しかし、当時を振り返ったハービーは、マイルスが言っている事を理解しないまま演奏していたそうです。それでもこれだけのプレイが出来てしまうのだから恐れ入ります。
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