本格的なエレクトリックマイルスの時代に突入する前に紹介しなければならないアルバムがあります。ネフェルティティと同じセッションからのテイクとチックコリア、デイヴホランドが入ったセッションが収められたアルバムです。70年代後半になるとエレクトリックマイルスを完成させたマイルスは病気療養の為に長期にわたり不在の時代がありました。その穴埋めをする為に発表されたアルバムです。
マイルスから絶対的な信頼を得ていたテオマセオにより編集されたアウトテイク集になりますが、新作が望めない時代に置いては貴重な作品集となりました。前半の4曲がネフェルティティと同じセッションによるモード
ジャズ前回の作品です。没になっていたとはいえ、作品の精度は悪い訳ではなく、オリジナルアルバムにそぐわなかった為に没となっていたようです。此の時代のマイルスはソニーから自由にスタジオを使える権利を授かっておりましたので、膨大なセッションが残されている訳です。其れを編集、時には大胆なテープをカット&ペーストで繋ぎ合わせて作品化したテオマセオの手腕が発揮された作品でもあります。
1. Water Babies
2. Capricorn
3. Sweet Pea
4. Two Faced
5. Dual Mr. Anthony Tillmon Williams Process
此のアルバムでも再認識させられるのが、ウェインショーターのリリカルで繊細なプレイです。ほとんどの曲を手がけており、作曲能力を改めて確認させられます。 Sweet Peaだけ1969年の録音になっておりますが、此の時代はエレクトリックにどっぷり浸かっている時代です。そこでの黄金のクィンテッドでの録音というのも貴重なテイクだと思います。練習用に演奏していたにしては素晴らしい演奏です。チックコリアが加わった作品も、モード
ジャズとエレクトリックが微妙に合わさって不思議な響きをもたらしております。
これらの作品以外にもアウトテイク集はありますが、これからは、とりあえず本来の流れであるオリジナル作品集に立ち返りエレクトリックマイルスのいだいなる偉業を伝えていきます。オリジナルに加え、これらの作品も聴いて頂けるとマイルスの難解なエレクトリック時代の何らかの参考にはなると思います。現在の停滞している
音楽界へ喝を入れるべき力が、此の時代のマイルスの作品には満ち溢れているのです。
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