奇跡のライブ音源、アガルタは大阪公演の昼の部でしたが、このパンゲアは同じ日の夜の部になります。演奏している曲は同じようなものですが、アドリブが主体なので、昼と夜の部では全く違う曲になっています。ですからタイトルも違っております。
ディスク11. Zimbabwe
ディスク21. Gondwana
このパンゲアではより完成された演奏が聴けます。ここまで完成されると、もはやサイケではなくプログレと表現してしまいたくなりますが、プログレのような予定調和ではなく、あくまでもアドリブによる偶発的な奇跡として存在している事に意味があります。楽譜通りに演奏するという事も簡単なものではありませんが、それは演奏家の仕事であって、楽譜も無いのに自らの感性でその場で音を創造していくという事はクリエイターとしての仕事だと思います。しかし、このバンドでのクリエイターはマイルス一人です。他のメンバーは演奏家です。ですが,バンドとして熟れていくうちにマイルスはメンバー全員をクリエイターとして育て上げたのです。
しかし彼等がこのバンドを去ってから、これほどのクリエイトが出来たかと言うと出来ておりません。このアルバムに収められている奇跡はマイルスという重力によって創り出されているのです。マイルスは細かい指示は出しません。凡人なら細かい指示が無ければ何も出来ませんが、マイルスから与えられた自由というのは、かなりのレベルを要求される自由であり、非凡な人間でも否応無しにかなりのレベルを出さざるおえない状況になっております。このメンバーはそれに応える事が出来たのです。
しかし、このアルバムを頂点としてエレクトリックマイルスは終焉を迎えます。これまでの無理がたたって長期病気療養を強いられるのです。マイルス不在の6年間に、時代はより急速的に進化していきます。
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