1972年、名作オンザコーナーが発表された後のステージ音源です。その為かファンク色が強い作品になっています。メンバーもラストスパートに入っているメンバーで、しかもマイルスは手術開けでした。そのせいかどうかは分かりませんが、これまでの毒素は感じられません。ノリは良いのですが、それはあくまでファンクのノリなのです。エレクトリックマイルスにはファンクでは片付けられないノリが存在しておりました。その為好き嫌いに分かれていましたが、この作品はその分聴き易いのではないでしょうか。物足りないと感じる面もありますが。
ディスク1 1. Rated X
2. Honky Tonk
3. Theme from Jack Johnson
4. Black Satin/The Theme
ディスク2 1. Ife
2. Right Off/The Theme
ジャケットはオンザコーナーと共通するものになっています。同じBlack Satinでもここではファンク面が強調されているので、ファンクグルーブとしてはとてもクールで素晴らしいものになっています。テクノ系の人には参考になるリズム構成かと思われます。
邪悪で凶暴なサウンドは期待出来ませんが、黒人としてのノリはしっかり表現出来ています。そもそもジャズはダンスホール等でお客さんを踊らせる為の
音楽として親しまれてきました。しかしビバップにより演奏技術を競う方向へと向かっていったのです。それを又踊れる方向としてファンクを取り入れたのだとしたら、マイルスはもっと広く受け入れられていたでしょう。しかしマイルスのファンクでは踊れないのです。踊るというよりオルガズムスへと導かれるような高揚が存在するのです。そう言う意味ではトランスやアシッドの先駆けでしょう。
又、この時期のマイルは基本的に4/4拍子で変拍子は好みませんでした。これはアドリブし易いという事と、テオマセオによって編集し易いという考慮から来るものです。前もって編集ありきの前提で演奏していたのです。だから演奏者はひたすらアドリブに神経を集中出来たのです。しかし、この作品では特に編集はされていないようで、自然なライブ演奏が楽しめます。踊りたい人向けの作品かも知れません。
スポンサーサイト