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[20060827]

The Man with the Horn The Man with the Horn
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6年間というマイルス不在の時を経て発表されたマイルスカムバック第一弾アルバムです。何度か復活出来る予兆はあったものの、マイルス自身がなかなか動こうとはしなかった。アガルタ、パンゲアでやるべき事をやり尽くした男は、そこで消えても伝説となったであろう。しかし生涯現役を貫き通す為に男は帰ってきた。

時は1981年、巷ではフュージュンサウンドという洗練された音楽がマイルスの手元を離れて一人歩きをしていた。マイルスには新しいメンバーが必要だった。この時代に通用する才能、その男の力が必要だった。それがベーシストのマーカスミラーであります。彼は音楽的なプロデューサー的立場にまでなります。しかし残念ながらこの選択が復帰後のマイルスの音をつまらなくしてしまいます。才能がある素晴らしいミュージシャンであるマーカスミラーではありますが、あまりにも今という時代の音に固執したため、これまでのマイルスにあった時代を超越した響きが無くなってしまったのです。そうです。ここに収められている音はまぎれもなく80年代の音であり。当時は最先端の音ではありましたが、普遍性はありません。今聴くと時代遅れな音なのです。

80年代はMTVの影響もあって、ヒット曲は多いですが音が悪いアルバムだらけなのです。原因はシンセサイザーの進化です。性能が良くなり、デジタル化して価格も安くなり一般にも広がります。音も良くなりますが、良過ぎてプロでもプリセット音をそのまま使うような愚行が目立ちます。つまり便利になり過ぎて個性が失われたのです。アナログシンセは不安定でしたが、個性的な立った音が創れました。デジタルは音が綺麗になり、周りの音とも馴染み易くなりましたが、その分個性が無くなり音が立たなくなりました。ミュージシャンの力量よりも機械の方が先を行ってしまったのです。機械に扱われるような立場で、人が機械を扱えるようになるには時間がかかったのです。ですので、この時代にも良いアルバムはありますが、数えるほどしかありません。ほとんどの作品が音が薄っぺらく貧相な内容になっているのです。さすがのマイルスもこの時代の罠に落ち入ってしまいました。

1. Fat time
2. Backseat Betty
3. Shout Aida
4. Man with the horn
5. Ursula

復活後もエレクトリック楽器によるバンドになりますが、エレクトリックマイルス時代とは区別したいのです。音楽的特徴としてもメロディーをはっきり演奏するようになり、リズムもシンプルになり、ポップな感じになります。それでも音が良ければ問題は無かったのですが、もうマイルスも時代の先を行けるほどのバイタリティーはありません。マーカスミラーに一任していたのが最悪な結果を招いてしまいました。

新しいメンバーはベースのマーカスミラー、サックスのビルエヴァンス、ギターのマイクスターン、ランディーホール、バリーフィナティー、ドラムはアルフォスター、キーボードのロバートアーヴィング、パーカッションのサミーフィゲロア、他にベースのフェルトンクルーズ、ドラムにヴィンセントウィルバーンという面子が集められました。

しかし音楽的に駄目かと言うとそうではありません。さすがに強者揃いですので素晴らしい演奏を披露しています。でもエレクトリックマイルスの音を期待するとがっかりします。あまりにも洗練されてしまっているからです。時代の先を走っていたマイルスはもはやここには存在しません。時代にあった音楽を演奏しているのです。おまけにタイトル曲はボーカル入りのブラコンでしかありません。マイルスのアルバムじゃないと思って聴けば充分なレベルのある作品です。質の高いフュージュン作品として聴けば満足出来る作品になっています。しかし今聴くと色褪せている感は否めません。
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