方法論は前作と同じですが、この作品からレオンラッセルが大きく関わってきます。そしてこのフォーマットでMad Dogs and Englishmenへとなだれ込んでいきます。やはりカバー曲がほとんどで、それをソウルフルにアレンジする格好良さが全てです。楽曲的には前作の方がインパクトがあります。しかし、あまり有名でない曲を気持ち良く歌えるように蘇らせる手法は見事です。
1. Dear Landlord 2. Bird On A Wire 3. Lawdy Miss Clawdy 4. She Came In Through The Bathroom Window 5. Hitchcock Railway 6. That's Your Business 7. Something 8. Delta Lady 9. Hello, Little Friend 10. Darling Be Home Soon 11. She's Good To Me 12. Let It Be
このアルバムからはビートルズのShe Came In Through The Bathroom Windowがシングルカットされてヒットしました。アビーロードのメドレーの中にはいっている曲ですが、リズム&ブルースにアレンジされて主役になるような曲に仕上がっています。レオンラッセルのDelta Ladyもカバーして南部の味付けも加わるようになっています。当時はクラプトンを筆頭に南部の音楽、つまりサザンロックがミュージシャンの間で流行っていました。サザンロックとソウルミュージックの融合です。前作で目立っていたゴスペル調の曲が少ないので、前作の方がどうしても出来がいいように聴こえます。
ボブディランのDear Landlordは有名では有りませんが、ジョーコッカーが歌うとものすごく格好良く聴こえます。ボーナストラックとしてはいっているビートルズのLet It Beは、元々がゴスペル調の曲をポールがポップに聴かせていた曲ですので、この曲はジョーコッカーにとってはやり易い曲になっています。しかし、あまりにも最初からゴスペル調の曲は変化の妙が少ないので、あえてオリジナルアルバムには入っていなかったのかもしれません。内容的には地味かもしれませんが、この作品がそのままMad Dogs and Englishmenへとつながっていきますので、とても重要な作品になっています。ファン心理ではこれも名盤です。