

今作はプロデュースもJohn Caleと Joe Boydで、完全にJohn CaleとNicoの共同作業で作り上げられています。前作Nicoの作詞作曲で、アレンジはJohn CaleというパターンでNicoは歌とharmonium、他の全楽器はJohn Caleによる多重録音です。この前衛的な
音楽が浸透してくるのが80年代以降ですから、彼女達の孤軍奮闘となる、これらの作品が80年代以降に現れるミュージシャン達を導いています。
1. Janitor Of Lunacy
2. The Falconer
3. My Only Child
4. Le Petit Chevalier
5. Abschied
6. Afraid
7. Mtterlein
8. All That Is My Own
インダストリアルバンドとして君臨するThrobbing Gristleも、90年代以降の歌姫となるビョークも、このアルバムの中で静かに眠っています。アルバムジャケットは彼女が出演した映画La Cicatrice Interieureのワンシーンが使われています。映画の描写と共通する雰囲気があるのでしょう。harmoniumのミニマル的な反復は手弾き故の不規則さもあって、テクノとは違うシーケンシャル感があって心地良いです。これをテクノ的なシーケンスにするとビョークになるのです。
この頃はアングラという言葉が流行るほど、メジャーではない部分から多くの才能が現れては消えていきました。彼女の作品は今も愛されているから、作品として残されています。前作よりも
音楽的で深みがあります。これはJohn Caleよりも彼女のアイデアの方が多くを占めるようになっているからだと思われます。
アヴァンギャルドにはなりすぎず前衛
音楽として成り立っています。彼女の表現力も徐々に豊かになっています。美しい作品だと思います。
Janitor Of Lunacy
The Falconer
My only child