
音楽活動からは遠ざかっていたNicoでしたが、81年に活動を再開します。時代が既に彼女達がやっていた
音楽に追いついていたという事もあり、彼女ならではのアイデアが溢れていたのでしょう。ニューウェイヴ、パンク、テクノ、インダストリアルと、彼女達がやっていた
音楽が分かり易くなっている状況は彼女に新しい居場所を生み出したのです。もうこの頃になると前衛でもなく、ロックそのものが当時の前衛を飲み込んで進化していたのです。
1. Genghis Khan
2. Purple Lips
3. One More Chance
4. Henry Hudson
5. Waiting For The Man
6. Sixty-Forty
7. The Sphinx
8. Orly Flight
9. Heroes
ほとんどの曲を彼女自身が創っていますが、Waiting For The ManはLou Reedが作曲したVelvet Undergroundのファーストアルバムに入っていた曲のカバーです。そしてHeroesはDavid Bowieのカバーです。David Bowieこそが、Velvet Undergroundからニューウェイヴへとつないでいった張本人であり、このアルバムのロック的なアレンジはDavid Bowieにヒントを得ていると思えます。David BowieやBrian Eno達が彼女達がやっていた前衛的な
音楽を標準化に近づける役目を果たしていたのです。
ですから、暗黒的なサウンドは昔ながらでも異質な感じがしなくなっています。勿論こうした
音楽は彼女達が元祖でありますから、当時のニューウェイヴの女性ミュージシャンがいたスージー&ザバンシーズやニナハーゲンよりも凄みがあります。格が違うと言った所です。ロック的なアレンジが強い事もあって、昔よりも躍動的です。何といってもドラムがあるというだけでも、これだけものが違ってきます。楽曲がバンド体系になっている分、彼女の歌は呪文度が上がっているようにも感じます。名盤です。
Genghis Khan
Purple Lips
One More Chance