未発表曲も収められていたベストアルバムTracksをはさんで2002年に発売された作品で、久々にE Street Bandが復活しています。プロデューサーはBrendan O'Brienで、オルタナなロックアルバムになっています。9.11以降の作品だけに、Springsteenのような影響力のあるミュージシャンがどういう態度を示すのか興味がありましたが、彼はかなりクレバーに曲によってメッセージを放っています。大切な人を失った悲しみを表現する事で、被害者としてのアメリカだけの代弁者にはならない、何を憎むべきなのかを本質的に暴いた作品になっています。
1. Lonesome Day 2. Into The Fire 3. Waitin' On A Sunny Day 4. Nothing Man 5. Countin' On A Miracle 6. Empty Sky 7. Worlds Apart 8. Let's Be Friends (Skin to Skin) 9. Further On (Up The Road) 10. The Fuse 11. Mary's Place 12. You're Missing 13. The Rising 14. Paradise 15. My City Of Ruins
今回の東日本大震災からも偽善的な発言をして、いい気になっている連中をよくテレビで見かけて嫌悪感を憶えますが、それに比べて、この作品でのSpringsteenは何と優しく、暖かく、逞しい事か。悲しみや怒りだけでは解決出来ない現実を包み込むようなおおらかさに満ちています。売り上げ的にも久々にトップの売り上げを記録して、その健在ぶりを魅せつけました。音楽的にも優れていて、Born in the U.S.A.なんか幼く見えてくるくらい優れた作品だと思います。U2に似てきている所もありますが、ギミックが無い分、こちらが優れていると思います。名盤です。