73年にデビューしたシンガーソングライター、ピアノマンのトムウェイツです。コーヒー&シガレッツ、酒と女という場末の酒場でピアノの弾き語りをしているイメージで売り出した彼でしたが、実際にジャズバーなどで歌っていた所から出てきた人です。このファーストアルバムはそんな酒場が閉まってから見せのピアノで歌の練習をしていた頃のイメージで創られています。彼の特徴はほとんどがミディアムテンポのバラード系の曲だという事。ギターが主役の時代にピアノ弾きという全く流行の
音楽 ではない事が、彼の売りでもありました。
1. Ol' '55
2. I Hope That I Don't Fall In Love With You
3. Virginia Avenue
4. Old Shoes (& Picture Postcards)
5. Midnight Lullaby
6. Martha
7. Rosie
8. Lonely
9. Ice Cream Man
10. Little Trip To Heaven (On The Wings Of Your Love)
11. Grapefruit Moon
12. Closing Time
スリーコードなジャズバラード、もしくはジャズを取り入れた現代的なカントリー、アーバン
ブルース を得意としています。Ol' '55はイーグルスもカバーした名曲で、この曲はイーグルスのような新しいカントリーロックともシンクロしています。全曲ミディアムテンポなので、普通は途中で飽きる所ですが、ドラマのある彼の曲は最後まで気持ちよく聴き通す事が出来ます。酒やけしたしゃがれ声とジャズバラードという絵に描いたようなシンガーですが、これで売れているミュージシャンはそれほどいません。バラード系が多いのに、どこか危険な男の臭いがする彼は常に第一線で注目され続けます。
まだこのファーストアルバムでは声が若いです。しゃがれ声もおとなしめです。それでも、この大人びた貫禄のある楽曲は、相当夜の街で過ごしてきた時期が長かったのだなと思わせます。激しいロックばかり聴いていると、たまに夜中にこのアルバムを聴いて癒されていたものです。後に80年代以降、しゃがれ声がガラガラ声に変わって、アヴァンギャルドな作風になりますが、そうなる前のオーソドックスだった時代では、このファーストアルバムが最高傑作です。このアルバムほど心にしみる感動的な作品はありません。名盤です。
Ol' '55
VIDEO I Hope That I Don't Fall In Love With You
VIDEO Virginia Avenue
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