サントラ盤のNight on Earthと同年にリリースされたオリジナルアルバムです。アバンギャルド路線は80年代から引き継いでいますが、更に輪をかけて進化しています。特にリズムの工夫は半端ではなく、90年代といえばブレイクビーツのワンパターンなリズムパターンばかりでうんざりしていた時期ですが、その時期に、これだけの豊富なリズムパターンを創造していたのには恐れ入ります。ジャングルやドラムンベース、ツーステップなどのリズムの発展はありましたが、全くその真逆なアナログなリズムパターンはいかがわしいとしか言いようがありません。
1. Earth Died Screaming 2. Dirt In The Ground 3. Such A Scream 4. All Stripped Down 5. Who Are You 6. The Ocean Doesn't Want Me 7. Jesus Gonna Be Here 8. A Little Rain 9. In The Colosseum 10. Goin' Out West 11. Murder In The Red Barn 12. Black Wings 13. Whistle Down The Wind 14. I Don't Wanna Grow Up 15. Let Me Get Up On It 16. That Feel
アフリカンビートのようなリズムもありますが、全く独創的です。しゃがれ声だけではなく、ファルセットも披露したりと、まったく自由自在な作品になっています。Keith RichardsがまたしてもThat Feelにギターとボーカルで参加しています。そしてグラミーのAlternative Music Album部門を獲得しています。一般的にも彼の音楽が評価されたのです。オルタナとも違う音楽ですが、そういう部門での受賞でした。全体的にはブルースが基調となっているようです。
黒人が初めてギターを手にして音楽を奏で始めた時のような、全く自由な発想で曲を創るバイタリティーが彼にも感じられます。それでいて、遺伝子に染み込んでいる魂の歌は自然と湧き上がってくるような、そんな音楽です。非楽器な打楽器音はサンプラーで創るような時代に、あえてアナログに録音しているからこそ生まれるグルーヴが猥雑でいかがわしくも淫美です。格好良さでは80年代の作品には及びませんが、80年代以上に混沌としています。Night on EarthでコラボレートしていたKathleen BrennanがSticksで参加しています。