前作の続編で、Eric Taggのボーカルをフューチャーしたボーカル作品です。82年の作品という事で、シンセベース、ドラムマシーンによるクラップ音など、80年代らしいサウンドを使うようになっています。80年代初期頃までマイルスデイヴィスが病気休養中だったという事もあって、ジャズ界も緊張感が無くなっていた時代だとは言え、ジャズロック黎明期から比べると、かなり軟弱なスタイルに落ちぶれてしまったという感は否めません。
1. Cross My Heart
2. Promises, Promises
3. Dreamwalkin' (Along With Me)
4. Keep It Alive
5. A Fantasy
6. Tied Up (In Promises)
7. Voices
8. On The Boardwalk
9. Roadrunner
10. Malibu
しかし、難解なジャズをよりも明快な分かり易いジャズとしてリーリトナーは作品を創ってきましたから、こういったサウンドに行き着くのは致し方ありません。このRITシリーズは完全に歌もののブラコン作品として、他の作品とは分けて考えた方がいいかもしれません。それだけバッキングの妙技に徹しています。前作が割と売れたものだから、その続編として製作されていますが、前作はまだ70年代のようなインテリジェントなサウンドでしたが、80年代サウンドに変わった途端にインテリジェンスは無くなり軽薄に感じてしまうのは、暗黒の80年代と言われる由縁であり、ただ新しいサウンドを喜んで使っているだけで、感心するような工夫が感じられないのです。
デヴィッドフォスターのようなA.O.R.のアレンジャーが、築き上げた洗練されたスタイルは、当時は一番おしゃれでしたし、この手のサウンドは売れる時代でした。しかし、ギタリストとしてのリーリトナーを期待していると、満足する事は出来ないと思います。それだけ歌が主役になっています。リーリトナーの作品というよりは、同時期にリリースされたEric Taggの作品としての性格が強く感じられます。しかし、これからバブル期を迎えようとしていた日本においては、この手の作品はよく売れたのです。
Cross My Heart
VIDEO Promises, Promises
VIDEO Dreamwalkin' (Along With Me)
VIDEO