

再始動したクリムゾンは数枚アルバムを出しては小休止しながら生き延びていきます。その合間を縫って、ビルは外からの刺激を求めて様々なセッションに顔を出すようになります。その一つがこの元イエスのキーボーディストPatrick Morazとのコラボレーションです。イエスでは同時期に在籍していなかった仲なのですが、ピアノと打楽器のコラボレートという不思議な作品を生み出しています。
1. Children's Concerto
2. Living Space
3. Any Suggestions
4. Eastern Sundays
5. Blue Brains
6. Symmetry
7. Galatea
8. Hazy
9. Blue Brains
10. Flags
11. Hazy
83年の作品で、モラーツが作曲したピアノ曲に対してビルがインプロヴィゼーションのように打楽器を重ねて行きます。そしてビルが創りだしたリズムに対してモラーツがピアノの和音を重ねて行きます。そうしたやり取りで構成された内容になっています。モラーツの現代
音楽的なピアノ、クラシックなのか、ジャズなのか分別がつきにくい故に現代
音楽と表現してみます。これがビルの五感を刺激して、これ又ジャズなのか、ロックなのか分からない世界を生み出しています。
時には優雅に、時には優しく、リックウェイクマンとは違う感性のモラーツのピアノはビルにとって新鮮だったようです。ピアノもドラムも多重録音されていて、もしくは同時に演奏しているものをトラック分けして違う表情のエフェクト処理をしていて、二つだけの楽器なのに広がりのある空間を生み出しています。他の邪魔な楽器が無いので、その微妙な違いも鮮明に聴こえてきます。まるでキースジャレットの即興演奏を聴いているみたいな瑞々しさがあります。名盤です。
Children's Concerto