84年の作品です。売れる方程式が分かったヴァンゲリスにとって、もう売れる事は大事ではなくなったようで、ここからは以前のドキュメンタリー的な作風をコンセプトにした作品を創っていきます。架空のサントラ盤という事になるようで、今回はジャケットから昆虫類を題材にしているようです。
1. Movement 1
2. Movement 2
3. Movement 3
4. Movement 4
5. Movement 5
デジタルシンセの普及はヴァンゲリスの創造意欲に火をつけたようで、これまでアナログシンセでやっていた事以上のものを表現出来るようになっています。打楽器の部分から何からシンセで表現しています。デジタルになったからと言って、所謂80年代ポップのような軽薄な音は選択していません。初期デジタルシンセのチープな感じが一切しません。ここは流石にヴァンゲリスのセンスに脱帽です。この時期にこれだけ厚みのある音をシンセだけで創っているのですから、彼には求めている音と言うのがはっきり見えているのでしょう。
デジタルシンセが出始めた頃は、その音の奇麗さに衝撃を憶えたものですが、アナログシンセのような音の厚みがない分チープな音色が目立っていました。レイヤーが足りなかったのです。DX-7Ⅱ辺りが出た頃からそれは解消されていきますが、そのチープな音をみんながありがたがって使っていました。しかしです。ヴァンゲリスは一切チープな音にはしていません。恐らく幾つかのシンセを同期させて発音させて自分でレイヤーを増やしていたのではないでしょうか。彼だけはデジタルシンセの罠に落ちなかったのです。これは凄い事です。この時期にこの音はあり得ないくらい凄いです。
音楽 的にはシンプルさがなくなった分売れる方程式から外れていますが、やっと自分のやりたい
音楽 に集中出来るようになったようです。素晴らしい名盤です。
Movement 1
VIDEO