ブーレーズ初期の代表作、ピアノソナタの1番から3番までをまとめたアルバムです。特に2番は20世紀に作曲された最も重要なピアノ作品と呼ばれるくらいの作品であり、3番は偶然性の結果によってどんなに
音楽が異なる解釈をされようとも、全体としては作曲者の意図の範囲で統率されるべきという
現代音楽ならではの理論に基づく管理された偶然性による作品になっています。
1. Piano Sonata No. 1
2. Piano Sonata No. 2
3. Piano Sonata No. 3
現代音楽といっても前衛的な作品ばかりではなく、クラシック
音楽の流れの上で新しい試みをしているものも、近代
音楽と言う言われ方もしていますが、それまでの理論を進化させたものではなく、否定する事から始められた
音楽は
現代音楽だと私は思っています。それまでの最先端だった印象派よりも不協和音の数が多く出てきます。しかし、それも理論付けされたテンションによって構成されています。この辺はキースエマーソンのピアノ曲などでロックファンは免疫が出来ていると思います。
管理された偶然性というものは、アドリブによる偶然発せられる音でも作曲家の管理下で統率されるべきという発想です。たとえば私SAMARQANDの作曲法も、アドリブ演奏したものをパソコンで編集して曲にまとめているものです。そもそも、曲を創ると言う行為自体、無の状態から創り上げていくものなので、アドリブ発想力と同じエネルギーで創られていると言うのが私の持論です。アドリブ演奏はやり直しがきかないと言うだけで、瞬時に作曲しているのと同じだと思っています。それと同じ意味合いを持っているのかどうかは、これもそれぞれの作曲家の持論によって変わってきますので、何とも言えませんが、即興的に生まれてくる音楽を曲として成り立たせると言う事で、それまでの西洋音楽とは違うスタンスに入った作品だと思います。
Piano Sonata No. 1