クラリネットの独奏の為に作曲されていた曲でしたが、その後、クラリネットとアンサンブルとして創り直されています。まるでフリージャズのように脈略の無いフレージングが連続していきます。しかし、これも作曲者の意図による所がブーレーズであり、きちんと作曲された楽曲です。つまり、ジャズで言えばクールジャズなのです。
1. Domaines, for clarinet & 21 instruments in 6 groups
60年代後期の作品ですから、フリージャズもエレクトリックジャズに取って代わろうとしている時期です。マイルズデイヴィスも
現代音楽の影響を受けていますが、彼は秩序のあるアドリブを好みました。ルールを決めてアドリブをするのが好きなのでフリージャズにはいきませんでした。その辺はブーレーズに近い感覚があったと思います。偶然生まれたフレージングも管理された偶然性として処理するのです。
なぜマイルスがルールを設けるかと言うと、バンドアンサンブルに重きを置いていたからです。フリーだと、ソリストが独走してしまって、他のメンバーが追従するのが大変になるからです。ここはビバップからやっているし、クールジャズも経験しているマイルスならではのもので、ブーレーズもクラリネットの独奏なのに、秩序を持たせています。不協和音のようなフレージングでもスケールをきちんと設定しています。
clarinet solo