3台のピアノ、3台のハープ、そして3台のパーカッションにより構成されたSur Incises。三種類の楽器を三台づつ演奏させ、その響きを楽しむ楽曲です。独奏チェロと6つのチェロで構成されたMessagesquisse。ヴァイオリンと電子音をコラボレートさせたAnthemes 2の3曲を収めたアルバムです。どちらも個性的な楽曲になっています。Messagesquisseなどはまるでキングクリムゾンみたいでプログレッシヴです。
1. Sur Incises
2. Messagesquisse
3. Anthemes 2
楽器の組み合わせで、その響きを重要視した作曲になっていて、既存楽器によるアンビエント作品と言ってもいいかもしれません。ブーレーズはオーケストラ作品ばかりではなく、電子
音楽も追求していて、4Xと名づけたハードウェアを導入し、数種類の波形を組み合わせた演奏が出来るように改良し、エレクトロ作品も創っています。同時期にシンセサイザーが誕生しているので、それを使えば便利だったはずですが、独自の反復ループを可能にするなどの改良を重ねているので、出始めのシンセサイザーよりやりたい事が出来たようです。
電子音を扱った
現代音楽家は沢山いますが、ブーレーズは既存楽器と組み合わせる試みが特長的です。Anthemes 2では電子音に負けないくらいバイオリンテクニックを駆使した演奏を指示しています。電子音とバイオリンがほぼ同じテンションで両立しているのです。まるでバイオリンのスタッカートのような電子音をステレオで振り分けてロータリゼーションしていますが、ステージでは6つのスピーカーで音がぐるぐる回るようなならしているものをレコードではステレオ定位で振り分けています。これも響きを重視する為の工夫です。演奏しているバイオリンを録音したテープをループさせて6つのスピーカーでローテーションさせている技法は、ロバートフィリップのフリッパートロニクスみたいです。アンビエントですね。
Sur Incises 1