IRCAMの電子音響技術を駆使してオーケストラを物理モデル音響合成という技術で表現し、電子音源を加えたブーレーズの代表作Reponsとクラリネットをテープ処理し、電子音を加えた二重の影の対話のカップリングアルバムです。現在ではハードディスクレコーディングによって生演奏に加工処理する事は簡単になっていますが、80年代初期にそれらを実現するIRCAMの電子音響技術を開発して制作されています。
1. Repons
2. Dialogue de l'ombre double
80年代にマックは登場していますので、コンピューターによるプログラミングは可能でしたが、オーディオ音源を扱えるまでには後10年以上の歳月が必要でした。ですから、この技術は画期的なものと言えたのでしょう。しかし、各音源をトラック別にレコーディングしてエフェクト処理する事も可能でしたが、ブーレーズはライブで実現出来る装置を求めていたのです。そしてやっと満足のいく効果を得る事が出来て、この作品が実現したのです。
生演奏している楽器に様々な加工を施して、アンビエントな雰囲気を生演奏で披露したのです。マルチエフェクトのかなりの上位機種のような効果が得られて、その効果付けも作曲の一部でありました。ロック界でもライブでのミキシング処理で部分的にエフェクトをかける事をやっているのですが、当時はまだエフェクト処理をプログラミングする技術は無く、人間の操作に任せていましたが、この機会はプログラミングする事が可能だったのです。現在のDTM環境では当たり前になっている事も、この頃に苦労して作り上げられていたのです。
Repons
Dialogue de l'ombre double
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