ルイス ブニュエル監督の作品である。ルイスブニュエルの作品は、僕が中学生と高校生のころ、田舎の長崎では、土曜の深夜にB級映画ばかり放送していた深夜劇場で多く紹介されており、そこでブニュエルの洗礼を受けました。学生時代の私にとっては、あまりにも強烈な印象があり、ただエッチなシーンを期待して見ていた若造にとっては鮮烈な内容でした。
この監督は変態的美術センスはあまり登場しませんが、作品そのものが変態的です。あまりにも難解な内容から、評論家もあまり追求しなくなりました。評論家が辿り着いた結論は、だってブニュエルなのだからしょうがない。という結論でしたが、それでいいと思います。ブニュエルでしかありえない映画なのです。スティービーワンダーの音楽が形容しようがなく、スティービーワンダーというジャンルが確立しているのと同じです。
この映画の内容は、そもそも自由とはなんぞや、という論争から生まれており、登場人物が交わりながらも次々に変わっていく流れは,世界の人々はどこかで繋がっているけれども、それぞれの価値観で生きているという、今という横のつながりと、歴史的な時代の縦の流れを象徴しているのでしょうか。
自由というのも曖昧な言葉で、下手すると、我が儘、無秩序となってしまいます。一見、主語のようですが、それを使う時の概念的なものによって、意味が変わってくるものではないでしょうか。この作品は答えを用意しておりませんので、受け手側の我々が考えなくてはなりません。いつの時代でも同じです。答えは我々の中にあるのです。我々次第なのです。
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