2009年のアルバムです。レーベルオーナーのローレンス・イングリッシュからポラロイド写真を何枚かもらって、「こういう
音楽を作らないか?」と言われて制作された作品です。ポラロイド写真のイメージを反映した結果、ローファイなぼやけたサウンドのピアノを中心とした内容になっています。これまでは演奏とは別にフィールドレコーディングしていましたが、今回はフィールドレコーディングとしてピアノを録音しています。
1. Hicari
2. Faire
3. April
4. Would
5. Sign
6. Tale
7. Look
8. Tyme
9. Guitar
10. Venice
ピアノのペダルを踏む音、鍵盤を抑えた時の音をフォーカスして録音していますので、ピアノ自体の音がピントのずれたぼやけた音色になっています。普通はピアノの胴体にマイクを向けて録音するものですが、それでもピアノだけだったら、呼吸する音とか、椅子が軋む音が聴こえたりします。それらは他の楽器が重なる事で消せますが、本来聴こえないように努力する部分にマイクを向けている事でポラロイド写真のイメージを表現しています。
ピアノは生演奏ですからプログラミングという手法は使っていません。ですからピアノ演奏が達者じゃない事が晒されていますが、それも味わいとして表現されています。私はピアノは専門ではありませんが、学生の頃、オクターブ下の鍵盤を押さえたままオクターブ上の音を鳴らすとハーモニックスが生じる事に気づきました。後にそれは調弦の時に役立つ事を知りましたが、そんな普段聴こえない音を拾い上げるような、現代
音楽的な作品になっています。
Full Album