2013年のアルバムです。基本路線は前作と同じで、アコースティック演奏とフィールドレコーディング、もしくはそれに近い質感のマイクレコーディングをHDDで組み合わせたような内容になっています。旋律というよりフレーズのリフレインによるゆったりと動く情景の描写となっています。
1. in white flow
2. acrylic acoustic
3. astral heart
4. lotus
5. path
6. spent reading and thinking about human suffering
7. nightline
8. shade clock.
9. cut up / realise
10. nemuneko
11. 絵葉書みたいな街の午後
12. silent smile
13. from here
電子音はほとんど使っていませんが、エレクトロニカな雰囲気がするのは、アナログな素材をデジタル環境で編集しているからだと思います。HDDレコーディングは長いスパンでのサンプリングみたいなものですから、その素材を自由自在に扱う事が出来ます。それでも録音した素材はそのままに近い状態ではありますが、デジタルエフェクトをかけることによって、実際の空間とは違う響きになるので、そこにエレクトロニクスな加工された雰囲気を感じるのだと思います。
あまり話題にはなりませんが、フレージングという手法が
音楽、特にロックにはあると私は思っています。ロックで言えばギターリフのようなものですが、テーマ、旋律とは別に存在するフレージング、そのフレージングを全面に出している曲がたまにあります。売れている
音楽にはほとんどありませんが、こういう描写的な
音楽にはよくあります。彼の場合も歌ものではありませんから、このフレージングの手法で曲が成り立っています。普通はこれに主旋律がついて完成なのですが、主旋律をつけない事によって余白のある、負担を感じさせない
音楽になります。主張を誇示するような押し付けがましい
音楽とは違った楽しみ方が出来ます。
in white flow