2006年のアルバムです。今回はポップである事がテーマになっていて、王道のコード進行で曲が作られています。そしてアコースティック楽器の音源の割合も多くなって、フォークトロニカにも適応する内容になっています。ドラムパターンもフロア向けになっているし、極力作り込まないように心がけていると思います。ポップである事は模倣寄りになりがちなので、一番難しい分野でもあります。
1. The Name Of My DJ
2. Cat
3. Coltrane
4. Nothing Else
5. Ladies
6. Fatass
7. Primavera
8. Nothing Else (Reprisal)
9. The Golden Mile
10. Bye Bye
曲の骨格はポップに仕上げていますが、それをそのまま仕上げるほどお人好しでは無い人ですから、細かな部分で多少の抵抗を見せています。完全にストレートになりきれないところが彼の性格を物語っています。しかし可能な限りポップに仕上げていますので、後退しているようにも感じますが、ヒネクレものがポップであろうとするのは挑戦的な事であり、かなり差し引き加減でそのチャレンジ精神を見せてくれています。伝わりにくいと思いますが、足したいところを抑えて我慢している感じが泣けてきます。
オーソドックスになりがちなところを極限的に繊細に作り込んで、なんとかオリジナリティーも浮き立たせています。ここまで抑える意味が分かりませんが、ゆるさが彼の特徴だとするならば、彼にしかできない隙間の作り方だと思います。生演奏のデジタル編集など、ブレイクビーツの延長線上にありながらも新しい挑戦もこなしています。彼なりのフォークトロニカに対する回答になっている作品だと思います。
The Name Of My DJ