2016年の作品です。Black Tie同様インスタレーションアートのために作曲された作品で、悪夢のような不眠へのサウンドトラックとなっています。長尺のドローンサウンドを作り上げ、レコーディング自体はワンテイクで録音されています。以前と違う点とすれば、電子音も含まれているところで、そこにテープエコーがかかったようなチェロが組み合わされていきます。
1. The Marble
2. Garden
中低音を中心としたサウンドですが、倍音を含む生楽器や非楽器が空間で鳴っています。こういうサウンドトラックが似合うのは東ヨーロッパ系や北欧の言葉の少ない映画でしょうか。日本ではほとんどいない表情だけで物語を語れる俳優陣が当たり前にいるサードワールド的な社会。俳優もほぼ素人同然なので、変な癖やこだわりがない分、自然な演技が出来ている作品を多く見かけます。日本やハリウッド系には無いナチュラルさが心地よいものが多いです。
リアリズムとシュールリアリズムを超越して雄弁に物語られるセリフの少ない映画、そんな作品にふさわしいサウンドトラックになっていると思います。いい加減アメリカナイズされたエンターテイメントに反旗を掲げられる若者が増えてきてほしいものです。文化の多様性を謳いながら結局はアメリカンウェイな手法は愚の骨頂です。そういう思いで聴いてほしい作品です。
The Marble