2019年の作品です。カセットで70枚限定での販売でしたが、ダウンロード販売もされています。20分以上の壮大なUmana Tramaを中心に、他は小曲が添えられています。シンセサイザーを多用したバンドサウンドによる宗教的で民族
音楽的なスタイル、プログレ系のサウンドですが、後期プログレのミニマルな雰囲気に似ています。
1. Umana Trama
2. La Chiocciola
3. Respiro Profondo
4. Canto di uno Schiavo
5. Voce della Sorgente
6. Pensieri Sacri
7. Allontanamento
物静かで柔なかサウンドはかつてのオカルティックな世界とは違って、ある程度悟りを開いたかのような世界観を醸しています。これまでのサウンドが宗教で言うところの地獄を描いていたのに対して、天上とまでとは言いませんが、人間界まで這い上がってきたかのような表現となっています。勿論人間界にも地獄があり、苦しみにもがいたりもします。しかしかつてのような絶望感はありません。
即興性は無くなっています。精密に計算された展開。それは彼らの演奏力の充実、表現力の熟練さ故にたどり着いた、バンドとしての完成形に近づいた姿だと思います。地獄だけを見せつけるのでは麻痺して地獄を感じられなくなります。どんなに穏やかな状況においても地獄が存在するという事実の方が現実味があります。表現者、人間としての成長が感じられる作品になっています。
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